ゆめ6
□真っ青なワンピースを揺らす
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あなたの好きな色だから私の好きな色になった。あなたの好きな食べ物だから私の好きな食べ物になった。あなたが好きな香りだから私の好きな香りになった。あなたが好きな映画だから私の好きな映画になった。あなたの好きな季節だから私の好きな季節になった。いくつあなたは私の好みを変えたのだろう。いや、無理に変えたのではなく、私が寄り添った結果じわじわと染まっただけの話である。単純なよくある話。好きで好きで堪らなくて、他の全てを犠牲にしてきた。他にはなにも要らなくて、ただ、あなたが欲しかった。
裏切りは視界の端でちらついても信じることが出来なかった。信じたくなかった。私にはあなたしかいないのに、あなたには他がいる。そんなわけがない。そんなわけ、ない。
青よりも赤の方が好きだった。魚よりも肉の方が好きだった。オーシャンよりもバニラの方が好きだった。アクションよりもラブコメの方が好きだった。冬よりも夏の方が好きだった。滑稽な話。今となっては全て変わってしまった。今更私に戻れはしない。
「そんなのズルいよね」
真っ青なワンピースを揺らす
(160704)