「おはよー!!」
校門をくぐるとその門の裏でいつも彼は待っていてくれる。
手を振り駆け寄ると彼は一度だけ頷いた後、スッと私に手を差しのべた。
なんだろ?
少し考えた後おずおず鞄を持つのとは逆の手で、その手を取ろうとすると彼が先に私の手をがっちりと掴んだ。
「じゃ、行こうか。」
彼はそれだけ言うと校舎と逆の方向に歩き出す。
「ちょっと有里くん!学校はあっち!」
引きずられる様に彼の後ろ小走りに進む私は、どんどん遠ざかる校舎を指差しながらそう言う。
「君と二人きりになりたい。」
どくん。
彼の放った言葉に心臓が大きく鳴った。
「有里くん‥」
「このままサボろ。」
振りかえった彼の顔はとても柔らかくて優かった。
それに負けた私は校舎を指差していた手を下ろすと、彼に向かって大きく頷きそのまま彼の腕にぴったり引っ付いた。
(で、どこに行くの?)
(白河通り)
(え‥!?)