小説【咎狗】
□黒猫の尻尾
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そうして二人で特に何するのでもなく、ベンチに座っていた。
が、突然。
「あっ!」
というと声と共にケイスケは立ち上がる。
「アキラ!アキラ!あそこ、ほら、黒猫がいるよ!」
「迷い猫か?」
と、話している間に黒猫はいつの間にか二人の足下に近づきニャーニャーと鳴く。
「もしかしてお腹空かせてるのかな。」
「かもな。ケイスケお前何か持ってるか?」
「あっ!俺、確かおやつの残り持ってたかも!」
ガサガサとポケットの中を漁ると中からクッキーが出てきた。
…本当はアキラと一緒に食べようと残しといたんだけど、まぁしょうがないよね。
「ほらっ、猫ちゃんどうぞ」
ベンチから降りて、クッキーが乗った手を差し伸べる。
「あっ、食べてる!やっぱりお腹空いてたんだね」
「良かったな、クッキーがあって」
アキラは餌やりには加わらず、猫にクッキーをあげるケイスケの後ろ姿をベンチから眺めていた。