小説【咎狗】

□犬物語
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!注意!この話はケイスケが犬設定及び他キャラの設定が崩壊しています。パラレルが嫌いな方は見ないことをお勧めします。
それでもOKな方はこのままスクロールしてください。














「犬物語」









シンシン…――

初雪を記録し、今年一番の寒さを記録するミカサ。
既に街は一面の雪景色と化している。

「こんなに寒くなるなら買い物なんかに出なければよかった」

早く帰ってコタツに入って暖まろう。知らず知らずのうちに早足になりつつも家まであと少しだという所で、ふっと異変に気づいた。


『くーんっ…』


犬の鳴き声?
でも…それにしてはやけに元気が無い気がする。

『くーんっ…!!』
聞こえた。先ほどよりも若干大きな鳴き声が確かに。

「…」

無視しようと思えばできた。いや普段だったら、そんなのはほっといて通り過ぎていた。

…でも、その犬の鳴き声が何故か自分を呼んでいるように聞こえて、無視することができない。

仕方なく声の主を探そうと周りを見渡すと、道の端にあるボロボロのダンボールに目が付いた。

…よく見ると箱からはみ出す小さな茶色耳が見えた。

「ここか?」

そっとダンボールの中を覗くと一匹の茶色子犬が丸まってか弱く鳴いていた…

『クーンっ』

人の存在に気づいたか子犬は体から頭を起こし、アキラをみつめる。

「うっ…」
そんな目で俺を見るな!…俺にどうしろというんだ!!

家はアパートだから犬は飼えないし、はっきり言ってペットを飼えるほどの金も無い。
…でも弱った子犬を無視するほどの心の持ち主にもなれなくて…

「どうしよう…」
雪が降るなかしばらくアキラは途方にくれた。



トテトテ…――――



ふっと足元に気配を感じ、下を見ると犬が自分の足にすり寄っていた。

その姿は自分に必死に縋りついているようで…
その瞬間覚悟を決めた。

「ふっー、わかった。お前の勝ちだ」

ここまでされて見捨てるなんてことはできなくて、すり寄ってくる子犬を胸に抱えてアキラは帰路についた。


…冷たいと思った子犬は抱えると意外に暖かく、特に寒い今日には気持ちいいと思った。
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