小説【咎狗】
□幸せな誕生日
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「誕生日おめでとう、ケイスケ」
「アキラァァァ〜、俺の誕生日覚えていてくれたんだ!!」
「まぁ一応な。付き合いだって長いし」
そう今日は俺の誕生日。
こうしてアキラと一緒に暮らし始めるようになって初めて迎える誕生日だ。
「誕生日だから何か他にもあげられたら良かったが…悪い、ケーキぐらいしか思い浮かばなかった」
「あぁぁ、アキラ!そんな俯きながら悲しそうな顔しないで!!」
そんな顔されたら、俺の胸が締め付けられるじゃないか(汗)
「あのね、アキラ。俺はアキラから貰える物だったら何だって嬉しい。それに…アキラは誕生日以外にも毎日素晴らしいプレゼントをくれてるよ?」
「えっ?俺はお前に何かやった覚えは無いが…?」
首を傾けながら考えるが、全くといってそんな記憶は無い。
だけどケイスケは笑って続けた。
「えへへっ☆こうやって毎日、アキラが今まで見せてくれなかった一面を俺に見せてくれるようになったのがプレゼントだよ♪」
「なっ…!!そんな恥ずかしい台詞を満面の笑顔で言うな!!」
「だってミカサにいる時はアキラ、あきれてる顔や怒ってる顔ぐらいしか俺に見せてくれなかったじゃないか」
「いや、それはただ俺が感情を上手く表現するのが苦手だっただけで…悪かったとは思ってる」
確かにあの頃は酷かったという自覚はある。
「うん、アキラが人前で上手く感情を表現するのが苦手だってことも、一緒に暮らすようになって初めて知ったこと。他の奴は知らない俺だけが知ってるアキラだよ」
また、恥ずかしいことを幸せそうにコイツは話す。
「俺さ、そんなアキラの新しい一面を発見するたびにアキラからプレゼントを貰ってるみたいで嬉しいんだ」
ヘヘッ〜と、明るい笑顔でアキラを見つめる顔。正直嫌いじゃない。
…だからもっと喜ばせたいと思う反面、黒い願望が胸を横切った。