小説【咎狗】
□黒猫の尻尾
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「アキラっ〜!!そんなところで何してるの?」
遠くから呼ばれるのに気がつき振り向くとそこには、最近やけに自分に構ってこようとするケイスケの姿が見えた。
「早く教室に戻らないと先生に怒られちゃうよ」
どうやらアキラを心配してわざわざ探しに来てくれたらしい。
「別に…ただ面倒だから」
外のベンチでアキラは何するでもなく、ただ空を見ていた。
…そもそもお遊戯会なんて馬鹿らしいものに付き合ってなんかいられるか。
「…でも、アキラこの間もサボって怒られちゃってたよね…いいの?」
「別に構わない」
一度や二度怒られるぐらいで阿呆らしい遊戯に付き合わなくて済むなら、何度でも怒られたっていい。
「…わかった。じゃあ、今日は俺もサボる!」
「はっ?」
今まで困り顔でアキラを見つめていただけのケイスケはいきなり意外なことを言い出した。
普段だったらイヤだと言っても、
「そんなのダメだよっ!」
って、無理やり教室まで連れて行かれるのに…
「急にどうしたんだ、おまえ?」
「えっ!!あっ、お、俺も、たまにはアキラみたいにサボりたいな〜って思っただけだよ」
そう言ってアキラが腰かけているベンチに座った。
「…勝手にしろ」
変なところでやけに頑固な性格なケイスケ。どうせ何を言っても変わらないと思ってそれ以上は考えないことにした。
「うん!」
良かった…ここ最近アキラと一緒に過ごす時間が無かったから。
ただ、隣にいられることが嬉しくて…たまにはこうして一緒ゆっくりできるなら、先生に怒られるのも怖くないと思った。