小説【咎狗】
□構成要素
1ページ/3ページ
それは例え話ではなく本当のことで。
俺の世界の全ては君でできている。
…喜び、悲しみ、怒り、苦しみ
俺の感情の全てが君に直結してるんだ。
君に触れられれば嬉しくて、
君がいないと悲しくて、
君が他の誰かと一緒にいると苦しくて、
君が痛いと自分も痛くて…
君の全てが俺の体を構成する要素。
だから君に否定されれば俺はきっと…。
きっかけは些細なことだった。
アキラが怪我を負ってホテルに戻ってきて…
心配で駆け寄って話を聞くと、どうやらイグラに挑まれタグを取ったらしい。
だから、俺は笑った。
複雑な思いではあったがアキラがようやくイル・レへ挑戦するための一歩を踏み出せたのだから。
なのに…
「俺が死ねと言えばお前死ぬのか」
…どうしてこんなことになったのだろう。
「いい加減にしろよ」
やめろ、それ以上言わないで。
拒絶しないで。
俺を見捨てないで。
「お前見てるとイライラする」
はっきりとした拒絶の意志。
それは同時に俺の世界の崩壊を意味していた…
いやだ、置いていかないで、アキラ。
俺の全ては君でできていて、君が居なくなったら
俺は…俺は…
壊れてしまう