メイン1
□大事な妹
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「沙都子」
「……はい?」
「悟史くんは、きっともうすぐ戻ってきます」
「……?」
「……悟史くんが、沙都子のせいでいなくなると思いますか?」
「だって私が頼ってばかりだった……だから、」
「悟史くんはそんなことで逃げるような人じゃありません」
「………っ」
「だから、悟史くんは、ちょっと遠くに、出掛けてるだけなんです」
「……そう、ですわね」
「……そんな暗い顔、しないで下さい」
「ありがとうございますわ」
沙都子の声は震えていて。
いつもは気丈に振る舞ってはいるが……本当は脆いんだって確認させられる。
だから、私が支えてあげなくちゃいけない。
私の心を支えてくれたのは、沙都子だから。
「、沙都子、私は、笑ってる沙都子が好きです」
それはきっと悟史くんも同じ。
「大事な妹の泣きそうな顔なんて見たくありませんから」
そう言うと、沙都子は俯いていた顔をあげて、少し無理してはいるが、いつもの無邪気な笑顔を見せた。
「ありがとう、大好きですわ、……ねーねー!!」
その時初めて、沙都子は恥ずかしがらずにはっきりと、ねーねーと呼んでくれた。
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