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□君の為
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2月14日朝、草壁から電話があった。

「今日チョコレートを持ってきた人からチョコを取り上げるか」と

それに対する雲雀の答えは「別に取り上げなくていいよ」

(いちいち取り上げてたらきりがないし…)

雲雀の手にはラッピングを施された……チョコレート。

―――――――――――
放課後。4時15分。

応接室のソファーに寝転がる黒い人影はそっとため息をついた。

同時刻、校門前。

帰り際のツナ・獄寺・山本は知っている人が校内に入ろうとしているところに出くわし、驚いていた。

「ディ……ディーノさん?!」

「おぅ!ツナか」

「えっと……」

「何でここにいんだよ?」

「そういうことです……獄寺くん……」

不機嫌さを顕にしながら声を被せてきた獄寺にツナは嘆息する。

「ちょっと私用でな。応接室に」

笑って言うディーノ対しその他三人は固まった。

(((応接室って…ヒバリ(さん)?!しかも私用?!)))

「じゃーな」と、笑顔で手をふりながら校舎へ向かって行くディーノ。

……三秒後にドシャッという音とディーノの「いってぇぇ…」と言う声が聞こえた。

「恭っ弥〜〜〜っ!!」

ものすごい勢いでドアを開ける。

その音に雲雀はソファーから起き上がった。

「っ……ディーノ……ドアは普通に開けろっていつも言ってるだろ!!」

「悪ぃ。久々だし、嬉しくてよ」

「……バカだね」

そう言って黙り込む雲雀。

ディーノはそんな雲雀の様子を見、目を見開いた。

「どうしたんだよ、恭弥?なんかいつもと違うな?」

いつもだったら「バカじゃない?下らないね」ぐらいの事を言った上で咬み殺されるのがオチなディーノは普通に驚いていた。

「別に」

「はは……そういや恭弥。今日なんの日か知ってるか?」

「……バレンタインデー」

「お、正解。だから、ハイ」

そう言いながら、袋からとりだし雲雀に渡したのは。


真っ赤な薔薇の花束と小さな箱。



「ホントは恭弥には桜が一番似合うと思うんだけど、これはこれで恭弥っぽいだろ?」

「……意味分かんない」

ディーノの同意を求める声をさらっと無視して、箱を開ける雲雀。

中に入っていたのはチョコレート。

しかも高級そうな。

「……別にこんなの要らなかったのに」

「何でだ?日本のカップルはバレンタインにチョコレートを交換するんじゃないのか?」

「……なんかちょっと違うよ」

「え?!マジで?!……じゃあ恭弥からはなんもないのか……ちょっと期待してたんだけどなぁ」

もしかしたらバレンタインの効果で雲雀が素直になってくれるのではないかと考えていたディーノは少し残念だった。

「……これ…」

「うえっ!!嘘!!恭弥これチョコ……」

「うるさい!要らないんならあげないし!!」

「いる!!超いる!!」

目を輝かせて雲雀のチョコを受け取るディーノ。

「これ食っていいか?あーでももったいない気も……」

「うるさい。言っておくけど、味はまずくても知らないから。お菓子作りなんて初めてしたし……」

「全然OK!!恭弥が作ったものなら何でも美味いし!」

満面の笑みでそう言うディーノ。

(………ムカつく……余裕ありまくりなカオして……)

意味のない憤りだとは分かっている。

けれど、どうしたって優位に立たれることが雲雀は苦手だった。

雲雀はディーノを引き寄せる。

ちゅ、という軽い音が密やかに響いた。

「……恭弥……っ?!」

急にキスされ慌てふためくディーノ。

そんなディーノの表情を見て雲雀は満足そうな笑顔を向ける。

「花束のお礼だよ。僕があげるのチョコだけじゃ不平等だからね」

ディーノは雲雀を抱きしめた。

「……お前マジで可愛すぎ……」











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