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□貴方となら
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桜が満開になる時期。

暖かな陽の中で僕はいつものように昼寝をしていた。

今日は何もないからゆっくり寝れる。




……そう思っていたのに。




バタン、と大きな音を立てて扉が開く。

応接室の扉をそんな風に開ける奴は一人しかいない。


仕方なく僕が起き上がるのと同時に何もない所でこけて転ぶ金髪のバカ馬。


「……日本に来るなんて聞いてないよ。ディーノ」

「まぁ、今日決めたからな」

「……で?今回は何なの?」

ディーノはイベント事がある度に日本へ来て、僕を呼びに来る。

大抵僕は嫌がるのだが、毎回無理矢理そのイベントに参加させられる。

「いや、今日はな。リボーンに桜がすっげぇ咲いてるって聞いたから、恭弥と一緒に花見に行こうと思って」


僕は"桜"という単語を聞いた瞬間、ソファーへ戻って昼寝を再開する。



ディーノがどんなに話しかけて来ようと無視することを心に誓って。



……しかしディーノのイベント好きはそんな僕の心の誓いなど打破してしまうほど物凄く。

結果から言うと。

いつもと同じく僕は無理矢理イベントに参加させられてしまうのだった。








―――――――――――


「わ――っ!!満開だな!!」

子供みたいに目を輝かせるディーノ。

僕は周りを見る。




満開の桜。




群れてる人間。




「……咬み殺してくる」

トンファーを構え、歩き出そうとしたら……腕をディーノに掴まれた。

「咬み殺すって……何をだよ?」

「全部に決まってるでしょ」

僕がそう言うと、呆れたように笑うディーノ。

「ったく……せっかくの花見なんだから、もっとゆっくりしようぜ?」


……ゆっくりも何も。

本当は今すぐ帰りたい。


「僕、桜嫌いなんだけど」

「知ってる」

あっさりと答えるディーノ。

何で知ってるんだろう。

教えてたっけ?

……とかいう疑問もあるけど、とりあえず今はそんな事どうでもいい。

「何で知ってて連れて来るの」

そう訊くと、ディーノは一瞬考えるような顔して。

「恭弥と桜の組み合わせがきっと綺麗だろうなって思ったから」

ふわりと微笑む。

うん、やっぱり綺麗だ。

そう言って僕の頭を撫でるディーノ。



……不思議と、ディーノの後ろに見える桜が嫌に思えなかった。




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