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□本当は、ずっと
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朝、僕が学校へ行くと見慣れた車が目に入った。
ため息をつきながら応接室に入ると予想通り。
ソファーに見慣れた金髪の男が座っていた。
「……日本に来るなら電話ぐらいしてっていつも言ってるでしょ」
「悪ぃ。……恭弥を驚かそうと思って」
その言葉を聞いて、僕はさらに呆れる。
「だったら車、校門の前に置いとくなよ……」
「……え?!嘘だろ?!だって車は、」
僕のその呟きを聞いたディーノは立ち上がり、窓へ駆け寄る。
そして、校門の前に車があるのを確認した途端、その場に座り込んだ。
「〜〜あーあ。せっかく驚かそうと思ってたのに……」
いじけた風にそう言うディーノ。
………思わず可愛いと思ってしまった。
「で?結局、何なの?」
「あー……。ちょっと今から出掛けるぞ」
何なのか訊いたら、ディーノは立ち上がり、僕の腕を掴む。
「は?!ちょっと何?行くってどこに?」
「いーから付いて来いって」
笑顔でそう言ってくる。
腕を引っ張っているのに付いて来いも何もないだろう。
と、思ったが、仕方ないので僕はされるがままで。
ディーノの車に乗せられた。
「……ねぇ。どこ行くの?」
「ホテル」
「……何しに」
「いーから。行けば分かるって」
何を訊いても曖昧な返事ばかりで、もうこれ以上ディーノは何も話さないだろうと思った僕は大人しく助手席に収まっていた。
……隣に座っているディーノがなんだかそわそわしているような気がする。
それを僕は気付かないふりして、窓の外の流れる景色を眺めていた。
しばらくして車が止まった場所はディーノと一緒に何度か来たことのあるホテルの前。
ディーノはフロントで何か言ってから、僕の手を引き中へ入る。
一体なんなんだ……。
僕は黙ってディーノに手を引かれてゆく。
……手?
「ディーノ」
「何だ?」
「手、離して」
周りの目が気になりそう言った。
しかしディーノは。
「もう少しだからいーだろ?」
手を離そうとしなかった。
……別に手かなんか繋がなくたって逃げたりしないのに。
そして、ある一室の前でディーノは足を止めた。
コンコン。
「入るぞー?」
いつもは無言で部屋の中に入るのに、何故か声をかけるディーノ。
ドアを開けた瞬間。
パアアァァン!!!
「……?!」
音がした。
びっくりして音の原因を見る。
……それはディーノの部下が持っていたクラッカーだった。