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□あの空の先で
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トントントン……

軽やかな包丁の音が響く。

「静かな この夜に 貴方を――」

歌声と共に。

5月18日。

キラとカガリの誕生日だ。

それを祝うため,小規模ではあるが誕生日パーティーを行うということになった。

場所はキラ達が住んでいる家。

パーティーの準備はラクスと子供達がするということになっていた。

で,ラクスは今料理の準備中。

鼻歌(の域を越えている気もするが)を歌いながらリズムよく野菜を切っている彼女はとても楽しそうな表情をしている。

ガチャリ。

そこへ扉を開け入ってきたのは今日の主役であるキラ。

その姿を見たラクスは一端歌うのをやめ,振り向く。

「あら?キラ,どこへ行ってましたの?」

「……散歩……なんだけどさ……。……ねぇラクス」

キラは扉の前で足を止めたまま遠慮がちに言う。




「……料理……ちょっと多すぎじゃない?」




その言葉を受けラクスはテーブルの上を見る。

「あらぁ……楽しくて思わず作りすぎてしまいましたわ…」

全く困った様子を見せずにそう言うラクスにキラは小さくため息をつく。

……まぁいいか。楽しそうだし。

「……そういえば,アスラン達は??」

「もうすぐ来ると思いますけれど…」

「あ,じゃあ僕,外で待ってた方がいいかな??」

「……そうですわね……アスランにドアぶっ壊されたらたまったもんじゃありませんし……」

あはは。だよねー。

そう言いながらキラが外へ出ようとしたのとほぼ同時に。

ものすごい勢いで扉が開いた。


「キラあぁああぁぁ!!!!!!!!!!」


そう叫びながら入ってきたアスランは無駄に勢いよく助走をし,キラに飛び付く。

「……会いたかった……キラ……」

「……アスランっ!!苦しいからっ!!」

痛いほどに抱き締められ,キラはアスランの腕の中で暴れる。

しばらくしてからアスランはキラの事を離した。

「……はぁ……」

……なんかいっつもアスランは……なんというか……やりすぎ……。

まぁ,そんなに嫌じゃない僕も僕なんだけどさ…。

「ところでアスラン?」

二人のハートの飛んでいるやりとりを黙って眺めていたラクスが口を開く。

「……カガリさんはどういたしましたの?」

「……え。先行ってていいと言われたから…」




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