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□アス誕*
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「アスラーン!!トリックオアトリート!!」

……いきなり部屋に来るなり満面の笑みで手を差し出してくるのは、もちろんキラ。

「…………。」

とんがり帽子に、マント、ミニスカ、ニーハイ、全部色は黒。

その格好は、なんだろう、うん、魔女だろう。

……あぁ。

可愛いさ。すっごく。

今すぐ押し倒してしまいたいぐらいに。

ただ、今はそれよりも果てしなく大きな問題がある。

「………キラ?」

「ん?」

「……今日は何日だ?」

「29日でしょ?」

「…ハロウィンっていつだったっけ?」

「31日じゃない?」

「………………。もう一回聞く。……今日は、何日だ?」

「29」

「……で、ちなみに今日はなんの日か知ってる?」

「アスランの誕生日。」

……知っていた。

そりゃそうだ。

キラはかれこれ一週間前から「もうすぐアスランの誕生日だね〜♪」と、何故か俺以上に俺の誕生日を楽しみにしていたのだから。

「……で、だ。今日は俺の誕生日だろ?なら俺がプレゼントを貰うことはあれど、キラが俺からお菓子をとるのはおかしいだろ」

少し図々しいかなと思いつつも、ろくでもない一言目をかけてきた恋人をそう諭す。

しかし肝心のキラは、

「だってどうせ2日しか違わないんだよ?だったら一緒に祝った方がいいじゃん」

あたかも当然のようにそう言い切った。

というかなんだ。

キラの中では俺の誕生日とハロウィンは同列なのか。

第一ハロウィンって祝うものなのだろうか。

………相変わらずキラの脳は突飛だ。

しかもわざわざ魔女のコスプレなんてしてき………て……………。

…………。



キラが、わざわざ、コスプレ……?



……嫌な予感に駆られた俺は携帯電話を取りだしとある人に電話をする。

……テゥルル……テゥルル……

『……もしもし?』

「……ラクス……」

『あら、アスラン。お誕生日おめでとうございます』

「他になにか言いたいことはないでしょうか」

『……クス……もうキラはそっちにつきましたのね?私からの誕生日プレゼントですわ』

……やっぱりか!!

『気に入っていただけました?あ、それに、明日もキラはお仕事お休みですわよ』

「……は?」

『よいお誕生日を♪』

………プツッ。



……要するに。



キラに変な理論を叩き込んでなおかつコスプレさせてここまで来させたのはラクスだったわけで。

しかも明日の予定まで開けていて。

……まったくありがたいんだかありがたくないんだか。
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