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□甘さは控えめに
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「フラーン?」

……遠くで誰かがミーを呼んでいる。

誰かが、って言っても、こんなかん高い声で喋るのはヴァリアーに一人しかいないけど。

「ルッスセンパイ?何か用ですかー?ミー今から昼寝しようと思ってたんでできれば手短にお願いします」

「……やっぱり知らないみたいね?」

「………は?」

なんの前置きもなしにそう言われた。

相変わらず変な人だ。

「今日、ベルの誕生日よ?」

「……………。…………………………………は?」

初耳だった。

「そーいえば、誕生日の話とかしたことなかったですねー」

「……んまぁ。普通に恋人同士ならそのぐらい話すでしょ?」

真剣に驚いた顔をするルッスセンパイ。

なんだろう。

物凄く、不愉快だ。

「別にルッスセンパイには関係ないじゃないですかー」

「関係ないわけないじゃない。可愛い後輩のことだもの」

………これだからオカマは。

これ以上話すのは非常に不愉快だったので、わざと突き放す。

「とりあえずーウザいんで消えてもらえますか?つか、消えろ」

「まぁそう言わずに。誕生日プレゼントとかあげないの?」

「………消えろって言ったの聞こえなかったのかよ。えーと、そうですね。別に所詮ベルセンパイですからプレゼントとかいらないと思います」

ていうかなんかフツーに捨てそうだ。

「……お菓子は?」

「お菓子?」

なるほど。

お菓子ぐらいなら貰ってくれるかも知れない。

……別にあげたい訳じゃないけれど。

それに形の残るものは万が一のことが起こることを考えると重いし。

何気に甘いもの好きそうだし。

「んじゃ、なんかテキトーに作っといてください。」

ここはルッスセンパイに任せていいだろう。

そして回れ右。

……したとたんにさらに回れ右させられた。

「……なんですかー」

「私の手作り渡しても意味ないじゃないの」

「大丈夫ですー。ちゃんと『ミーの手作りです』って言って渡しますから」

「なおさらダメじゃないの……」

ビシッと立てた親指を忌々しげに見つめるルッスセンパイ。

「そんなこと言われてもー。ミー料理なんてできませんしー」

「教えてあげるから!!!」

無理矢理ミーを調理室に連れていくルッスセンパイ。

……その顔は実に楽しそうだ。はぁ。
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