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□小さな幸せ
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※過去拍手文※

とあるスーパーにて。

私は夕食の買い物に来ていた。

すると,視界に入ってくる黄色い髪,大好きな人。

「悟史くんっ!!」

「あれ?詩音?」

私が声をかけると悟史くんは振り向いて近づいてくる。

「……どうしたんですか?こんなトコで」

「どうって……夕食の買い物だよ…」

あぁそういえば悟史くんの家は交代で料理するんだって言ってたっけ。

それにしても。

悟史くんの持っている買い物籠の中には大量のカリフラワーが入っている。

「……何作るんですか?」

そう訊くと悟史くんは首を傾げながらこう答えた。

「……ブロッコリーの炒めもの?」

疑問符で返してくる悟史くん。

……というか。

「……悟史くん,それ,カリフラワーです。ブロッコリーは緑ですよ?」

「……。そうだっけ?」

「てゆーかそれが仮にブロッコリーだとしても量多すぎだと思います」

「………むぅ」

そう言って黙ってしまう悟史くんはとっても可愛い。

思わず助けなきゃって思ってしまう。

「一緒にお買い物しましょうか?……よかったら夕食作りに行きますけど」

「……え。あ,それは……ありがたいけど……悪いよ…」

「別にいーですよ?どうせ一人で食べるつもりでしたし。」

正確には葛西と二人なのだが,葛西なら許してくれるだろう。

「……じゃあ……よろしくね。詩音」

申し訳なさそうにそれでもにっこりと微笑む悟史くん。

……どうも私の心臓は悟史くんの笑顔に弱いらしい。

赤くなる顔を見られないようにブロッコリーを探すふりをして方向転換する。


「いいですか悟史くん。緑がブロッコリーで黄色がカリフラワーです。」

「むぅ……。緑が……カリフラワー?」

「……違いますよ」

「どっちも似たようなものだろ」

いじけた風に悟史くんは言う。

……沙都子も同じこと前に言ってたなぁ。

「……詩音,それじゃ足りなくない?」

私が材料を籠に入れていると悟史くんはそう言ってくる。

「悟史くんがいつも多く買いすぎなんです」

「………そうかなぁ」

本当に悟史くんは……変わってない。

そういえば,一年ぐらい前……悟史くんがいなくなる前もこうやってお買い物したっけ。

その時も悟史くんはブロッコリーとカリフラワーが分からなくて……

材料もポイポイ籠にいれちゃうしで……

あぁ,あのときはまだ私は『魅音』だったんだよね。

なら悟史くんは覚えてないか。

その時不意に悟史くんが口を開いた。

「……詩音……缶詰買わない?」

「は?!缶詰っ……嫌ですよ!!」

反射的に否定すると悟史くんはクスッと小さな笑い声をもらした。

「……やっぱり。詩音と前もこうして買い物したよね」

「へ?!」

「……一回魅音とスーパー来たとき。あの魅音は詩音だったんでしょ?」

だって魅音は缶詰平気だもんね。

そう言いながら何がそんなに面白いのか,相変わらずクスクス笑っている。

……でも,ちょっと嬉しい。

「……覚えてたんですか?」

「うん。……あと,野球の応援に来てくれてたのも詩音,でしょ?」

「……何で分かるんですか!?」

「だって……やっぱりなんか違うから。」

これには本当に驚いた。

……魅音になりきれてる自信があったから。

でも……でも……やっぱり嬉しいかな。

私が『魅音』だった間も悟史くんは私が『詩音』だって気付いてたってことだから。


帰り道。

悟史くんはこう言った。

「また一緒に買い物しにいこうね」

悟史くんのことになると自分はとことん単純になる。

こんな些細な一言ですっごく幸せな気分になれるんだから。








……できるなら,こんな小さな幸せがずっと続いてくれればいい。








―――――――――――
初の拍手文ですww

短い文章書くの難しいですね……orz


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