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□ある意味俺たちらしいけど
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※幼馴染み設定
※捏造過多


俺たちの勝負は、朝から始まる。

と、言っても、好きで勝負をしているわけではない。

家を出るのが二人とも遅刻ギリギリの時間なので走って学校へ行かざるを得ないのだ。

そして、隣り合って走っているうちに、次第にどちらが先につくかの競争になってしまう、というだけで。



ラストスパートをかけ、勢いよく扉を開ける。

「っし!!俺の勝ちだな」

「貴様の方が走り出すのが早かったであろうが!!結局同じぐらいだろう!!」

「なんだ紅葉、負け惜しみか」

笑って言えば、言うことに事欠いて殴ってきた。

「い、たいであろうが!!」

「は、貧弱だな」

ばちばちと二人の間に火花が散る。

クラスメイトは時折此方に眼を向けるが、基本的には気にしていない。

まぁ、毎朝繰り広げられるやり取りに興味持つものもそういないだろうが。

紅葉はふ、と笑って俺に人差し指を向けた。

「昼休み、リベンジだ!!」

「あぁ、望むところだ」

睨み付けて言ってくる紅葉にそう返す。

……昼休みまでの四時間は、俺たちにとったら勝負を預けられているようで苦痛だった。



そして昼休み。

俺たちはグローブを嵌めて外に出る……訳ではなく、弁当を広げる。

早食い勝負。

これが、昼休みの勝負方法。

前は各々家から持ってきていたものだから、そもそも最初の量が違ったが、今では紅葉が毎朝作ってきてくれている。

だから、たまにはゆっくり食べたいと思うときもあるのだが、勝負も楽しいので、なかなか言い出せずにいる。

二人の視線が合うのは試合始まりの合図。

「よし行くぞ」

「おう」

『いただきま……』

「おーい、青葉ぁ!!客人」

と、箸をつけようとしたところで。

教室の入り口から紅葉を呼ぶ声。

水を注されたことに不服なのは彼も同じなのだろう。

不快さを隠しもせずにゆるりと立ち上がる。

「誰だ?」

「さあ」

紅葉には思い当たる人物がいないらしく小首を傾げた。

紅葉が入り口の向こう側へ行く。

ちらりと見えた客人の姿は女子だった。

その途端胸のあたりがざわついた。

もやもやする、というか。

原因なんて分かりきっている。

一応恋人という彼に女子の客人。

あまり色恋沙汰に興味はないが、多少の知識はあるわけ、で。

どのくらいかかるか分からなかったので、気を紛らすためにも弁当に箸をつけた。

「……あ、うまい」

入っているのは小難しいおかずではないが、普通に美味しかった。

あいつ、思ったよりも料理上手いのだな。

そして、これを俺の為に作ってくれている、と思うと、やはり嬉しかった。

今まで一気食いをしていたせいで、味などろくに分からなかったことを少し惜しく感じる。

そうしていつになく味わいながら弁当を食べているうちに、暫くして、紅葉が戻ってきた。

疲弊した様子なのに、大丈夫かと声をかけると、何故か硬直してしまった。

「……紅葉?」

「、な、何故食べている」

「何故って、どのくらいかかるか分からなかったしな」

「……」

「紅葉、料理上手いのだな。美味しいぞ」

「そ、そうか」

ふいと顔を逸らして呟く。

微かに頬が赤くなっていて、照れているのだと知った。

がたりと椅子に座ると、今度は俺の方を見て、言う。

「ほ、本当か?」

「、だからそう言っておろうが」

多少強い剣幕で言われ、少し驚く。

そんなにも気になるものなのだろうか。

「そう、か」

よかった、と息をつく紅葉に、不覚にも胸が高鳴った。

たまに見せるこういった表情が、俺の心を捕らえて離さない。

紅葉も弁当をつつき始める。

もぐもぐと口を動かしながらも、時折考え込むように手を止めて。

深呼吸したかと思えば、了平、と、らしくもない小さな声で俺を呼んだ。

「なんだ?」

「……さっき、の、その」

言いにくそうに口を開いたり閉じたり。

「……別に言いにくいことなら言わなくてもいいが」

俺がそう言えば、紅葉の気に障ったのか、苛立ちを露にした。

「、別に言いにくくなどない!!結局、ただ、興味のない女に告白された、と」

その勢いで声を荒げるも、最終的には小声になってしまっていた。

そんな様子を見て、俺は思わず笑ってしまう(馬鹿にしているわけでは、ない)。

さっき一瞬でも不安になった自分の方がよっぽど馬鹿らしい。

だって、紅葉は、こんなにも。

「そんなことか」

「、そんなこと、だと?人が、」

「断ったのだろう?」

「、」

「わざわざ報告などしなくてもよかったのに」

「……一応、だ!!後で色々言われても困るからな!!」

「紅葉は極限に真面目だな」

笑いながらそう言えば、不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。

こいつの拗ね方は、昔から変わらない。

「、馬鹿にしているのか」

「嬉しいと言っておるのだ」

「なんだそれは」

こんなにも、俺を見てくれているのだ。

不安になるなんて、出来るわけもないだろう。

「……好きだぞ、紅葉」

「な、貴様、ここがどこだか分かっているのか!?」

「誰も俺たちの話なんて聞いているわけがないだろう」

「そういう問題じゃないだろ、ドアホウ!!」

紅葉が思わず席を立ち上がったその瞬間、チャイムが鳴った。

俺たちの手元には、食べかけの弁当。

二人顔を見合わせる。

結局、昼休みは早食い勝負で終わることになるようだった。











タイトルはM.I様から。


2010*12*20


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