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□想い
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「……夜一様……私,夜一様の事が……好き……なんです………すみません……」
砕蜂のその言葉を聞き,夜一は一瞬驚いたカオをしたあと,優しく笑う。
「……何故謝るのじゃ?」
「ぅ……だって私……女……ですし……それに夜一様だったらもっと……っ……」
夜一は砕蜂の所へ移動したかと思うと,砕蜂に口づけた。
「……これが答えじゃ」
「夜一……様…///」
―――――――――――――――――
「おーい……砕蜂!!」
私は,誰かが私を呼ぶ声で目を覚ました。
何故あんな昔の夢を見たのだろう……
そして目を開けると,目の前に……
「よっ……夜一様……?!」
「ありゃ,目を覚ましてしもうたか。ぐっすり眠っているからキスぐらいしてやろうかと思っていたのに」
……どうりで近すぎると思った。
「とりあえず……少し離れてください。起き上がれないですから」
「あっはは!!すまぬすまぬ!!あまりにもお主の寝顔が可愛かったのでのぅ……」
意地悪い目線を私に送ってくる夜一様。
「な……ッッ可愛……ッ?!///」
「まぁまぁ!気にするな!行くぞ!」
そう言って私を連れてきたのは,尸魂界の一角にある森。
「この辺りならそう人も来んだろう」
「あの……夜一様……」
刹那。
私の唇が夜一様のそれと重なる。
ニッと悪戯が成功した子供のように笑う夜一様を見て,さっきの夢の映像がフラッシュバックした。
……昔から変わらぬ夜一様の笑み。
夜一様の笑顔は私を幸せにする。
「砕蜂?」
「あ……なんでしょうか,夜一様」
「……前々から思っていたのだが,おぬし,時々儂と話している途中で不安そうな顔をするのは何故じゃ?」
「え……」
不安そうな顔……していたのだろうか。
「いえ……只,夜一様と3日ごとぐらいに会えるなんて信じがたくて……夢みたいだと……」
「儂は毎日でも会いに来たいぐらいじゃがの」
「……何を言っておるのですか……百年も姿を眩ませていたのに…」
「……まだ,恨んでおるか………?」
「え……?」
悲しそうな顔でそう問われ,初めはなんのことか分からなかった。
……しかし,思い出した。
旅禍事件の際,私自身が夜一様に対して放った言葉。
『私は貴様に失望した!!貴様を憎み 呪いさえした!!』
「あ……あんなの……!!」
嘘に……決まってる…
「……夜一様が居なくなってしまった悲しみと……絶望を……憎しみで紛らわせていただけ…」
本当は……
「百年の間ずっと……夜一様の事が忘れられなくて……貴女が傍に居ないことが……辛かった」
百年の間……ずっと……
「ずっと……夜一様に会いたかった……ッッ!!」
私は泣いていた。
……情けない。
こんな姿……夜一様に…見られたく……なかった。
「砕蜂……」
「……っ……」
「儂も……ずっとおぬしに会いたかった…」
そう言いながら私を抱きしめる。
「本当は,おぬしも連れていきたかった……しかし,おぬしは儂の後釜として……尸魂界に必要だった」
夜一様の腕のなかは……安心できる。
「本当にすまなかった……」
「不安……なのは……また夜一様がいなくなってしまうんじゃないか…って……」
私は夜一様の背中に回した手に,力を込めて言う。
「だから……約束……してくださいますか……?もう二度と私に黙って何処か遠くへ行かぬと……何処か遠くへ行くのなら……私も……連れていってくださると……!!」
「あぁ……約束する」
そう言って私にキスをすると「誓いの徴じゃ」そう言って,華麗な笑みを私に向けた。
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