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□目覚めた君と,これから
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はぁ……はぁ……は……ッ
詩音は必死で階段を,かけ上っていた。
そして,診察室のドアを乱暴に開けた。
「監督ッ!!」
「詩音さん?!」
「詩音?!」
診察室では診療中だったようで驚いたように振り返ったのは,入江だけでなく,診察に来ていた圭一もだった。
「あら?圭ちゃんじゃあありませんか。どうしたんです?」
「風邪……っぽくてよ。てゆーかお前こそどうしたんだよ?」
「あ……そうですよ!!監督!!」
詩音は入江に駆け寄ると,耳もとで悟史が起きたということを手短に伝えた。
「本当ですか!?詩音さん」
「本当です!!私,先戻ってますから」
詩音はさっさと悟史のもとへ戻っていった。
入江も,圭一に謝り,鷹野に後の事を任せると,地下へ降りて行った。
ガチャ
「あ,詩音?」
「はい。お待たせしました。すぐに監督も来ますから」
悟史のベッドの近くにある椅子に詩音は座る。
しばらくすると入江が部屋に入ってきた。
「悟史くん!!」
「監督………」
悟史を見るなり入江は目を輝かせ,悟史に駆け寄ると,彼を拘束していたものを外した。
悟史は起き上がろうとしたが,上から詩音に押さえられた。
「駄目ですよ,悟史くん。まだ病み上がりなんですから。」
しばらく安静にしてて下さい。ね?と微笑みかける。
「詩音さん。彼はまだ起きたばかりですし……疲れてしまうといけませんから,今日はこの辺にしときましょう」
「あ〜〜……そうですね。悟史くん,また明日も来るから」
詩音は椅子から立とうとする。
「待って!!」
……悟史はそれを引き止めていた。
「……詩音,もう少しだけ…ここにいてくれない?」
悟史に寂しそうな顔+上目遣いで頼まれたら。
詩音が断れるはずがなかった。
「監督……もう少しぐらい,いいですよね?」
入江は諦めたように笑った。
「悟史くんの頼みだったら,仕方ないでしょう。私は仕事に戻りますから何かあったら,呼んで下さい」
「わかりました。ありがとうございます」