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□本当は、ずっと
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「恭弥」


後ろから呼ばれ、振り向くと同時に抱き締められた。


「好きだよ、恭弥。愛してる」



耳もとで、いつもより少し低い声で囁かれる。

「……っ、」


カシャン。

手に持っていたお皿を、思わず離してしまった。

……幸い割れていないようだし、お皿の上に何も乗っていなかったから、汚れる心配もあまりないのだけれど。


「約束する。恭弥の誕生日には毎年恭弥に会いに来る」



甘い声でそう言われるだけで。

"好きだ"と囁かれるだけで。

僕の身体は、ぴくんと震える。



「愛してる。……誕生日おめでとう」


そう言いながらディーノはにこりと笑った。

次の瞬間、僕の唇と彼の唇が重なった。

「…ふっ……んん」

ボーッとしてくる頭の片隅で僕は思った。


毎日誕生日ならいいのに。

本当は、毎日、ずっと、ディーノと一緒にいたい。

……無理だと、わかっている。

だから一度もそれを口にしたことはない。

でも……一年に一回ぐらいなら……我儘を言っても、いいかな?

「……ディ…ノっ」

「……ん?」


「……好き……今日だけは……ずっと一緒にいて……」



「、……あぁ」

ディーノは少しだけ驚いたあとそれだけ言って、僕のことを強く抱き締めた。






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