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□風邪
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「……さてと」
俺は恭弥が寝たのを確認してからそっと立ち上がる。
恭弥の家の様子を見る限り恭弥は風邪をひいてから何も食べていないっぽい。
……風邪っつーか。
絶対に熱もあったけど。
「ちゃんと薬飲んでんのかな……」
……心配事はたくさんあるがとりあえず飯を作るのが先決だな。
えっと……。
日本では病気のときは何を食べるんだっけ……?
「……もしもし?」
『……ディーノさん?!どうしたんですか?』
「えっとさ……日本では病気のときに何を食べるのがいいって言われてるんだ?」
『はぁ……?病気のとき…ですか?まぁ一般的にはお粥とか…』
……あー……お粥。
聞いたことあるな。
「後,できたら作り方も教えてほしいんだが」
『……やめておけ』
「……リボーン?!」
ツナはいきなりリボーンにケータイをとられたらしく,電話の向こうから何か言っている。
『お前,今近くに部下いねーだろ』
「恭弥ん家に部下入れるわけにいかねーだろ」
二人きりの時間を邪魔されるのも嫌だしな。
『お粥自分で作るつもりなんだろ?』
「他に誰が作るんだよ」
俺は真剣に答えているのだが,リボーンは小バカにしたように笑う。
ここまで来ると意地でも作りたくなってくる。
「いいから作り方教えろよ」
『……仕方ねぇなぁ』
そのあとリボーンが作り方などなんだかんだでちゃんと教えてくれたので,俺はそれをきっちりメモして電話を切った。
ケータイをテーブルの上に置き,キッチンへ向かう。
どうせ恭弥のことだから冷蔵庫なんてほとんど空なのだろう。
しかし。
いざ冷蔵庫を開けてみると,調味料やら食材やらがしっかりと入っていた。
……恭弥,料理作るのか…?
そういえば恭弥毎日ちゃんとお弁当持ってきてるし。
俺,勝手にあれは草壁辺りが作ってるんじゃないかと思っていたけど,この分だと恭弥の手作りということもあり得るな。
今度弁当作ってもらおーかな……とか思いながらメモ用紙に書いてある食材を探すと,運のいいことに全部しっかりあった。
そこら辺に掛けてあったエプロン(恭弥の匂いがした)を借りてつけ,料理を始める。
数分後。
「……まぁ,いいよな」
時々包丁が手から滑り落ちたりなど危ない所もあったが。
完成したそれは見た目はとても微妙だが味はそれなりに良いものができた。
お粥なんて食ったことないからこれでいいのか多少不安だけどな。
そして俺はそのままお粥を持って恭弥の部屋へ行った。
恭弥はまだ寝ていて規則的な呼吸を繰り返している。
……本当に寝顔可愛いよな。
あまりの恭弥の可愛さに俺は恭弥の顔を軽くいじり始めた。
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