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□アス誕*
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でもせっかくのチャンスを無駄にするほど俺もバカじゃない。
キラには悪いが今お菓子の用意などはしていない。
普通だったら素直にイタズラをされてやるところだが(キラがどんなイタズラをするのかそれはそれで興味あるし)、
今日は俺がイタズラをしてみよう。
いや、するべきだ。
むしろしなければならない。
その為のラクスの誕生日プレゼント、もといコスプレだろう。
そしてあのラクスのことだ、あえてお菓子を持たせないでいるはずだ。
そんなわけで俺はキラがお菓子を持っていないと確信しつつ、にこやかーにキラに言ってやる。
「トリックオアトリート」
するとキラは「やっぱりか……」と呟き、なんだか複雑そうな表情で俺を見た。
そしてため息をひとつして、
「……ぇ……と……お……お菓子は持ってないけど……代わりに……僕を……食べ……て……///」
「……っ?!」
羞恥に顔を真っ赤にし、うつむきながらちょっと涙目でそう言うキラ。
一瞬で弾け飛びそうになる俺の理性。
……耐えろ、俺。頑張れ、俺。理性を保て、俺!!!!!!!
これもあの歌姫の策略か!?
キラになんて言葉を教え込んでるんだアイツは!!
……トゥルル
『フッ………もしもし……ラクス・クライン……くっ……ですわ……クフ…どうかいたしま……クスッ……どうかいたしまして……?…フフ……』
キラから少し離れてラクスに電話をすると。
……ワンコールで出た上に必死で笑いを堪えていた。
しかもクフってなんだ。
「……ラクス……どういうつもりですか……!?」
『あらぁ……誕生日プレゼントの一貫ですわ』
「だからってあんな……」
『可愛いですわよね、キラ。私と練習するときも、練習なのに真っ赤になってましたわ♪』
………ブチッ。
今のはあくまでもあの腹黒天使、否、天使の顔をした悪魔との電話を切った音だ。
決して俺がキレたとかそんなんじゃない。
……まぁ、いつかMSでぶった切ってやるとか一瞬思ったのは事実だが。
というかアイツ、俺への誕生日プレゼントとか言いつつ、ちゃっかり得をしているじゃないか。
「……アスラン?」
「……あまりラクスの言うこと鵜呑みにしない方がいいぞ」