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□ひめはじめ*
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「貴方と戦ってれば眠くならなくてすむかも」
ベッドから飛び降りながらトンファーを構え言う。
にやりと笑う僕に恐怖感が滲んだ表情を浮かべるディーノ。
「ちょ、待てって恭弥!!流血しながら年越しは嫌だ!!お前も嫌だろ!?」
「別に」
「……お前がよくても俺は嫌!!もっとこう……恋人っぽい雰囲気でいきたいの!!」
「……っ」
恋人、その単語に一瞬動きが止まる。
その隙を狙いディーノは僕を引き寄せた。
「〜〜〜っ」
すとんと布団に落ちる。
「はい、これは没収。な?」
僕の手からトンファーを奪い取り床に置く。
そしてディーノは僕を抱え込むようにして抱きしめ、言った。
「今俺は、お前の家庭教師としてじゃなく、恋人としてそばにいてぇの」
ちゅ、と額に唇が降りてくる。
……こんなに恥ずかしいことをしたりできたりするのはイタリア人なせいなのか。
流石にこれだけは何年付き合っても慣れそうにない。
ちらりとディーノの事を盗み見れば、視線が合う。
……そんな幸せそうな顔をされたら文句を言いにくくなる。
視線をはずしつつ心のなかでため息。
結局僕はディーノに甘いんだ。
「仕方ないね、今日と明日は咬み殺さないであげるよ」
そう言うとディーノは感動したように「恭弥……」と呟き、一層強く抱きしめた。
「やべぇ、どうしよう、恭弥、超、可愛い」
単語くぎりをしながらまたキスを落としてきた。
「んん……///ちょっと……こんなとこで盛るなよ」
「盛ってねぇよ……まだ」
「……まだ?」
「あ……ぃや。なんでもねぇ」
気まずそうに目を反らしたディーノ。
……何が、まだ?
「ほ、ほら、あと十分!!」
壁時計をみてディーノが声を上げた。
確かに長い針は10の位置、つまり50分を指していた。
近くにあったテレビのリモコンを取り、適当な番組をつける。
つけたのはなんか、バラエティー番組。
正直普段テレビなんてニュースしか見ないから、出てる人が誰とか、この番組がどういう内容なのかとかはまったく分からない。
まぁ、テレビをつけた理由は年越しのカウントを聞こうというだけで、内容なんてものは関係ないけど。