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□朝のひととき
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――たったったっ、

テンポよく足を走らせる。

「、あと、半、しゅうっ!」

今俺は自主的な朝練の最中。

内容は学校の周りをぐるぐる回る、ただそれだけ。

そして自分で決めた周数を走り終えたら終わり。

もう最後の周、校門が見えてきた。

と、その時。

「―――あ、」

銀色の立てた髪に褐色の肌。

「ごう、えんじ!!」

スピードを上げながら声をかける。

すると豪炎寺は足を止め、俺の方を向いた。

「風丸、おはよおぅぁっ?!」

「うわ、わぁ!!」

車は急には止まれない、ではないけれど、

スピードを上げて走っていた足は豪炎寺の前で急ストップができず、バランスを崩した。

前のめりに転びかけた俺の体を抱き締めるようにして支えたのは、紛れもなく豪炎寺。

「お……わ、わりぃ、」

「……あぁ」

……うわぁ、恥ずかしい。

なんか俺、すごくまぬけっぽいぞ。

「おは、よう」

「……そんな焦ってこなくても、ちゃんと呼ばれたら止まるって」

「……分かってる、けど」

つい、嬉しくて、

朝から会えたから少し、テンションが上がったせいだ。

「そ、そういえば。何で今日こんなに早いんだ?」

まだ朝のHRの時間までには40分はあるはずだ。

「あぁ、妹の見舞いついでに――、



風丸の朝練の様子、見ようかと」

「―――は?」

つまり、豪炎寺は……俺を見るために早く来たって事か?

「悪いけど、今日はもうおしまいにしようかと」

「みたいだな。でも、朝一で風丸に会えるなんてラッキーだから、今日はいい」

豪炎寺はさらりとそういうと、柔らかい笑みを浮かべて俺の髪に触れた。

「―――///」

微かに豪炎寺の指先が俺の頬に触れる。

それだけで、顔に熱が集まっていくのが分かった。

「……顔、赤いぞ?」

「……うるっ、さい//」

豪炎寺の腕を払いのける。

豪炎寺は、さっきの柔らかい笑みとは一変、楽しそうな表情をしていた。

「可愛いな」

「そういうこと堂々と言うなよ!!」

前は可愛いなんて言われるの、大嫌いだった。

いや、今も豪炎寺以外から言われるのはあまり好きじゃないけど。

ただ、豪炎寺から可愛いと言われるのは不思議と嫌じゃない、というか、

むしろちょっと嬉しかったり。
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