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□貴女の香り
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夏未さんが歩く度にふわりと漂ってくる甘い香りに、私は首をかしげた。

部室に二人きりなのを確認して、後ろから抱きつく。

髪に頭を埋めると、鼻孔に広がる甘い香り。

あぁ、やっぱり。

「夏未さん、シャンプー変えました?」

「えぇ。良く気付いたわね」

ほんのちょっぴり驚いて振り向く夏未さん。

「だって毎日嗅いでますから」

そう言って微笑むと、夏未さんの顔は真っ赤になる。

可愛いなあ。

そう思ってもう一度髪に顔をくっつける。

前の上品な香りも夏未さんっぽくて好きだったけど、お花畑にいるようなこの香りも好き。

むしろ、

「私、こっちの匂いの方が好きです」

そう言って、夏未さんから離れる。

そうしたら、夏未さんは振り向くから、その瞬間に唇を掠め取った。

夏未さんの赤かった顔がさらに真っ赤になる。

「、ねぇ、木野さん?」

「はい?」

「……私がこの香り、気に入ったのなんでかわかる?」

そう問いかけられたけど、分からなかったから正直にいいえ、と首を横に振った。

すると夏未さんは、ふふっと綺麗に笑って。

「なんとなく、ね。貴女みたいな匂いだなって思ったのよ」

どきん。

今度は、私が顔を赤くする番だった。

嬉しくて死んでしまいそう、なんてバカなことを頭の隅で考えて。

「夏未さん、」

「なぁに?」

「……好きです」

そう言って今日二度目のキスをした。






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