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□その微笑みが
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扉を開ければ、むわりと漂ってくる強烈なアルコールの香り。
(、え……いやいやいやいや)
まさかこんな朝っぱらから飲み明かしているはずがないだろうと、自分に言い聞かせながら、部屋に足を踏み入れた。
「…………うわぁ」
そこに広がっていた地獄絵図。
広めの部屋に好き放題に転がっているお酒の空き瓶、そして泥酔状態のアスラン、ラクス、カガリ。
正直、ちょっとかなりマジで帰りたい、そう考えてしまうほどの惨状だった。
そもそも僕を呼び出したのは他でもないラクス。
珍しくアスランもカガリも休みだから、キラも一緒に久々に四人で過ごしませんか?
なんて、相変わらずの涼しげな声で誘ってきて。
僕はまぁ仕事があるにはあったのだが、無理やりシンくんに押し付けてきた。
で、そこまでして来た結果がこれだ。
お酒にわりと強いアスランとラクスまでこうなるなんて相当だ。
はぁ、とため息を吐きながら、更に部屋に足を進めれば僕に気付いたアスランがこっちへやって来る。
抱き着いてこようとしたのを避けつつ、とりあえず散乱している酒瓶を拾って纏めておく。
「、キラぁ」
「いやもう本当邪魔しないでてか酒臭い近づかないで」
また抱き着いて来ようとしたのを弾きつつノンブレスでそう言うと、あからさまに肩を落とすアスラン。
よくよく考えたらアスランって酔ってても酔わなくても変わらないよね。
残りのカガリとラクスはと言えば、疲れたように眠っていた。
逆に酔っているときのピークに来なくてよかったな。
カガリは大分暴れるし、ラクスは黒い面全力で出してきて怖いし。
いや、本当、呼び出されてからここに来るまで大体一時間ぐらいしか掛かってないのにどんなペースで飲んだらこうなるんだろう。
「……きら」
あぁ、忘れてた。
酔ったときのアスランは普段よりも諦めが悪いんだった。
後ろから抱き着いてくるアスランの感覚を感じながら冷静にそんなことを考えた。
お酒臭さに眉をひそめつつも、アスランの腕の中に安心感を感じている自分が憎い。