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□放課後の駆引き
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「はんだー」

「……っ、やだ!!」

「……なんでさ」

「今は、や!!早く部活行かないと皆心配するって!!」

放課後、掃除が終わり皆教室から出払っている所に僕と半田は二人。

僕が半田を机に押し倒していると言う状況だ。

いや、押し倒している訳じゃなくて、半田が逃げるから机に縫い付けざるを得なかっただけなんだけど。

ついでに言っておくと、机に縫い付けてるからって教室で如何わしい事をしようとして居るわけでは決してない。

流石にそこまでは僕もしないっていうか、教室だといつ誰が来るか分かったもんじゃないし。

僕にはそんなスリルを味わう趣味はないし、何よりうっかり半田の喘ぎ声が誰かに聞かれようものなら、その相手を抹殺しに行かなくてはならないだろう。

それはともかく。

じゃあ何故今こんなことをしているかというと、事の発端は10分ぐらい前に遡る。



――教室に二人きりになった僕達は、部活の準備をノロノロしつつ、他愛のない話をしていた。

その時僕がほんの軽い気持ちで言ったのだ。

『ね、半田。キスしよ?』

冗談半分のつもりだった。

そりゃ、半田がそれをOKしてくれれば勿論キスするつもりだったし、ほんのちょっぴりだけだけど、頷いてくれないかな、なぁんて期待もしてた。

だけど、軽くあしらわれるだろうという僕の予想に反して、半田は過剰に反応したのだ。

『っえ、ぇぇえ、と。なんつーか、その、………ちょっと今は、やだ』

動揺してガタンと立ち上がりながらそう言う彼に僕は思わず口をポカンと開けてしまった。

……OKされるとも思っていなかったけどまさか『やだ』なんて言葉が返ってくるとは思わなくって。

しかも予想を上回る反応をして来たものだから、なんていうか、こう、僕の加虐心が刺激されてしまったのだ。

ついでに僕の『いや』とか『だめ』とか言われると逆にやりたくなってしまうという、ひねくれた性格も手伝って、最初に断られたらしないことにしようなんて思っていたことは軽く飛んでいってしまった。
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