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□分かってください
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キラが放置したままの残りのアイスを冷凍庫にしまいつつ、俺も1つアイスを取り出す。イチゴ味。

そしてそれを食べはじめて程なく後悔の念が押し寄せた。

冷房のせいで、ものすごく寒い。

「キラ、冷房の温度上げて。寒い」

「嫌だよ。暑いじゃん」

ジト目でこちらを見てくるキラの気心が知れない。

スーパーコーディネーターってやつは体感温度さえ俺たちと違うのだろうか。

そんな考えが一瞬過ったが、一笑に伏した。

どうせキラは動くのが面倒なだけだ。

ならば自分でと、クーラーの温度を上げる。

それをしても何も言ってこない辺り、やはりキラも俺とは度合いが違えど肌寒いと感じていたのだろう。


「ねぇ、アスラン、僕イチゴ味食べたいんだけど」

唐突に、本当に何の脈絡もなくキラは言った。

手元にはまだ食べかけの溶け始めたアイス。

「それ食べ終わったらまた食べればいいじゃないか」

「……お腹壊すし」

「そんな繊細な体してないだろ」

そう言えばキラは不満そうに「頑丈って言ってよ」と返してきた。

どっちだって同じだろ。

「……じゃなくてっ」

痺れを切らしたように俺の服がひっつかまれ、俺はよくわからないながらもそれに従う。

近くに行ったと思えば、俺のアイスがキラに食われていた。

「……何?」

「別に何でもない」

交換したいのかと思えば、一口で俺にアイスを突き返してきたし。

……何か言いたいっぽいが、全く憶測つかない。

ただ何故かキラの顔が赤いのだけは気になったが。

「……暑いのか?」

それによって導かれた答えだったのだが、どうやら違ったらしく、キラは信じられないといった目で俺を見た。

「君、鈍すぎだよ」

「そんなこと言われたって……言いたいことがあるんなら口で言えよ」

「……はぁ。こういうこと、」

残りのアイスを一口で食べきり、急に立ち上がったかと思えば、俺とキラの唇が合わさっていた。

暫くそうしていて、唇を離したときには、キラの顔は真っ赤で。

キスがしたかったのだとやっと理解した。

「……こんなの、あれで分かるわけないだろう」

「普通分かるでしょ馬鹿アスラン」

そう言って唇を尖らせるキラがあまりにも可愛くて。

そのまま深いキスを交わせば、口内にさっきまで食べていたアイスの味が広がった。










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