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□全部、ぜんぶ、大好き
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なんのことはない二人きりの時間が、何よりも大事になっていたのはいつ頃からだったろう。

僕は自分でも不思議なくらい、おかしなくらい単純に、半田と一緒にいるだけで幸せになれた。

だから、今までこんな風に思ったことなんて一度もないのに、半田だけは手離したくない、って思うんだ。

「僕たち、どうして日本人なんだろね」

「……はぁ?」

半田は心底不思議そうな顔。

彼はこういうこと、考えたことなどないんだろう。

「だってさ、日本人だと、結婚できないでしょ」

「ぶっ!!」

「うわ、汚な」

僕の言ったことに、何をそんな驚いたんだか飲んでいたコーラを吹き出す半田。

幸いそれはカーッペットには飛着せず、机の上を汚すだけにとどまった。

咳き込みながら机の上を拭く半田の髪を引っ張る。

振り返った半田の顔は、さっきむせたせいかはたまた別の理由からかは分からないけれど真っ赤だった。

「……なんだよ」

はぁと息を吐きながら、どかっと僕の隣に座る。

そしてもう一度、何、と訊いてきた。

「僕、半田とずっと一緒にいたいよ?」

「へ?あぁ、うん……?」

「でもさ、結婚できるならまだしも、男二人がずっと一緒って、なんかヘンじゃん?」

「……まぁ、そうかもな」

少しだけ頭を傾げながら答える半田の顔はどこか不満そう、というか、納得いってなさそう、というか。

それを指摘すれば、半田の顔は更に赤みをました。なんでだよ。

「う、だってさ、マックス」

僕はちょっと半田との距離をつめる。

半田の声は消え入りそうに小さくて、それでも何か、大事なことを伝えてくれようとしているのは分かった。

「俺、その、別にそんなことしなくたって」

「……そんなことって」

僕は小さくツッコムがそれには何も返してくれずに……いや、もしかすると聞こえてないかもしれないけれど、そのまま言葉を続けた。


「しなくたって、マックスと一緒にいたい……っていうか、その、離れるつもりも……ないし」

「……っ」


きっと今の僕は、さぞ驚いた顔をしていることだろう。

もしかしたら顔も少し赤くなっているかもしれない。

あぁ、もう、どうしよう。

時たま、ほんの時たまだけど、こうして半田は僕の予想を上回ることを言ってきたりする。

その度にもっともっと半田が好きになっているなんて、本人は知るよしもないだろう。

「半田、僕も半田大好き」

「も、ってなんだよ」

「だってさ、半田も僕のこと大好きでしょ?」

そう言えば、照れ隠しにふいと顔を反らす半田。

その姿がどうしようもなく愛しくて。

ちゅ、と唇に一瞬触れれば、咄嗟に反応できずに固まる、そんな姿もやっぱり愛しい。

そんな風に思ってしまう自分に少しだけ呆れてしまうけれど、仕方ないんだと誰にでもない言い訳を頭に巡らして。



(いざとなれば外国行けばいいよね!)
(俺英語無理だし)










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