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□スマートに愛せたらよかった
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それは只の気紛れだった。

眠れないんだ、そんな適当な嘘をつけば、コーンは快く僕をベッドに迎え入れてくれた。

その無防備さに、心配になるような、申し訳ないような気もしたけれど。

そのまま彼をベッドに縫い付ける形にすれば、意外というか、至って平然とした顔を崩さなかった。

「……デント?」

少し首を傾げて不思議そうに僕を見上げる彼は、可愛くて、それがまた少し、憎たらしい。

「聞いてたのと、違うね」

「はい?」

「ポッドがさ、こうするとコーン、すぐ赤くなるんだって言ってたけど」

「な、」

ポッド、その単語を発した途端に彼の身体が少し跳ねるのがわかった。

けれど、そこにはあえて触れずに言葉を重ねれば一気に頬が紅潮した。

それは肯定の証で。

瞬間、僕の中でぐらりとした感情が沸き上がってきたけれど、それを押さえ付けて彼に微笑みかけた。

「へぇ、本当なんだ」

「ち、違います!!」

必死に頭を振る姿は逆にそれが本当だと言っているようなものだ。

お客さんに対しては完璧な笑顔を崩さないくせに、僕ら兄弟の前になると途端嘘がへたくそになる。

真っ赤になった彼はとても可愛い。

けれど、その表情の原因が僕じゃないのだと思うとまた、ぐらり、と。

……別に、ポッドの事が嫌いなわけじゃあ、ない。

むしろ好きだと思うけど。

それなのにこんな感情を抱いてしまうのはきっと、ずっと三人一緒だったのに二人でくっついてしまったのが気に食わないからだ。

「……仲間外れはよくないよね」

少し近付きながらそう言えば、コーンは少し瞼を閉じた。

怯えているようなそれに、複雑な気分になる。

単に心が痛んでくれればまだよかった。

それなのに、彼のこの表情に少し、興奮しているだなんて。

我ながら最低だ。

ごめん、そう小さく呟いてから彼の唇に触れた。

沸き上がる欲望を抑える術を僕は知らなかった。

「……ん、」

するり、と、彼の口内に舌を侵入させる。

逃げる彼の舌を絡みとって、口内を蹂躙した。

溶けてしまいそうなその感覚に、暫し酔いしれてから、ゆっくりと唇を離した。

ちらりと彼を窺い見れば。

「……、」

今にも溢れ出しそうなぐらいに、瞳に涙を溜めていた。

これには、流石に純粋に心が痛んだ。

「ごめん、つい、あの、まさか泣くほど嫌だとも思わなかったんだけど」

「……ちが、」

彼の上から跳び跳ねるようにして退いて、半ば土下座のような形で謝れば、それを止められた。

「……ごめんなさい。コーンは、そんなつもりじゃ」

どころか、今度はコーンが頭を下げる始末。

多分、仲間外れ、その言葉に反応したのだろう。

僕らの中で一番それを恐れる彼だからこそ、敏感に受け止めてしまうのだと思う。

「……そういうつもりで言ったんじゃないんだけどな」

「え?」

「少し、意地悪してみたくなっただけだよ」

気にしないで、そう続けようとも思ったけれど、少しぐらいは気にして欲しいからその言葉は飲み込んだ。












2010*11*06

タイトルはM.I様から。


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