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□きみとぼくのあいだ*
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「……熱い、」
くらくらするような熱さを引きずりながら、廊下を歩く。
空調は効いているはずなのにこれだけ身体が熱い、ってことは、熱でもあるのかな。
生まれが特殊なせいで、あまり経験がないものだからよく分からない。
なんにしても一晩眠れば治るだろう、そう思って自室に歩を進めた。
「……あれ、キラ?」
「ふあぁあっ」
「!?」
ふらふらしながら歩いていると、曲がり角でアスランにぶつかった。
その瞬間、走り抜けた感覚と、思わず出てしまった、声。
アスランが驚いた顔で僕を見ていたけれど、それ以上に自分が驚いていた。
「え、とキラ?」
さっきの感覚で座り込んでしまった僕を心配するように顔を覗き込んで来るアスラン。
彼の手が僕の肩に触れたとき、再び、その感覚(今度は間違いなく快感だと分かった)が僕の身体を走る。
「〜〜っ」
予想できていたから辛うじて声は出さなかったけれど、身体が跳ねるのはどうにもできなかった。
どうして?
自分の中に疑問が渦巻く。
ヤったあと、とかならこういう風になることがたまにあるけれど、今回ばかりは、どうにも理解しがたかった。
アスランも僕の様相に気付いたのだろう。
「キラ?」と不安さとかが滲んだ声で名前を呼ぶが、触れては来なかった。
(……まずい、かも)
それだけ、なのに。
アスランの声を聞いただけで自分の身体が疼くのが分かった。
「アスラ、僕、」
「キラ、ちょっとごめん」
「、っ」
言葉と共に抱き抱えられた。
所謂、お姫さまだっこと称されるであろうそれに、恥ずかしい気もして、普段なら絶対飛び降りていたのだけれど、そんなこと今はできるはずもなく。
連れていかれたのは、アスランの部屋。
ベッドに寝かされたかと思えば、すぐに口付けが降りてきた。
「ふ、んぅ」
舌を絡めとられると、それだけでもう、痺れるような快感が僕を襲った。
「……キラ、なんでこうなったか、わかる?」
僕の気を少しでも紛らせようとしてくれているのだろう。
アスランは指で僕の頬を撫でたり髪の毛を弄ったりだとかを繰り返しながらそう聞いてきた。
僕は首を横に振る。
思い当たることは一切なかった。
そんな僕を見てアスランは複雑そうにため息をついて、今度はこうなる前に何をしていたかを聞いてくる。
正直、熱に溶かされかけている脳は考えることを拒んでいたのだけれど、どうにか記憶を引っ張り出して、答える。
「、多分、ラクスとお茶してたり」
「それじゃないか」
今度はさっきと違う、呆れたようなため息。
ちゅ、と再び落ちてきたキスは、だんだん下へ降りていった。
「その時に、媚薬でも飲まされたんじゃないの」
「、ふぁ、なん、で」
「キラがこうなるのを見たかったんじゃないか?」
「っあ」
首筋を舐めながら言われ、高い声が上がる。
アスランが小さく、ほんと、あそこで見つけてよかったと呟くのが微かに聞こえた。
彼は服を脱がしながら話を続ける。
「キラにこんだけ効くってことは相当強いのなんだろうね」
そういえば、前にアスランも僕に媚薬、使おうとしたことがあったっけ。
それは殆んど効果が出なかったのだけれど。
服を脱がし終えて胸に延ばしかけたアスランの手を制止する。
前戯に付き合っていられるほどの余裕はなかった。
「アスラン、も、いいから」
「へ?」
「、アス、ランが……欲しい」
顔を見られたくなくて。
彼の胸板に頭を押し付けるようにしてそう言う。
アスランが動揺するのが伝わった。
「でも、まだ慣らして、」
「昨日シたから、多分、平気だし」
「、」
アスランは迷っているようだった。
僕の身体を心配してくれているのがわかる。
でも、僕はもう限界だった。
頭を押し付けているせいで、アスランの匂いを感じるのも、僕を追い立てる。
「……お願い」
こう言えば挿れてくれるであろうことは、ほぼ確信していた。
こんなになった僕を見て、アスランの理性が残ってる方が奇跡的な訳だし。
「……キラ」
アスランは一度僕を呼びながら、身体を強く抱き締めた。
それに、快感以上の幸福を感じる。
胸が苦しくなるほどの幸せが、僕を満たしていくようだった。