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□おみくじなんて関係ない
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※幼少




くるりと一回転してはにかんだキラは、服のせいもあって、とても可愛らしく見えた。

「見て見て、いーでしょアスラン!!着物!!」

一月一日、俺の家族とキラの家族(と言ってもどちらも自分と母さんだけなんだけど)一緒に神社に行くのは、物心ついた頃からの習慣だった。

そして、今年のキラはいつにもまして元気だ。

赤を基調としたとした和服を纏ったキラは嬉しそうに落ち着きなく動き回っている。

折角着物来てるんだから、大人しくしてればいいのに。

そう思ったけれど、大人しいキラというのもなかなか変なものなので、それはそれでいいかなぁと。

というか、それよりも言いたいことがあるし。

「ねぇ、キラ、それって」

指摘する前に誰かに口を塞がれた。

見上げればしー、と人差し指を立てるキラのお母さん。

悪戯っぽく微笑んだその顔は、ちょっとキラに似ていた。

「ダメよ、アスランくん。言っちゃ」

「やっぱり、あれって女の子の……ですよね」

「アスランくんにはすぐ分かっちゃうのねえ」

って、言われても。

そんなの見れば分かるし、ていうか、普通に気付かないのなんて、キラぐらいのものだと思う。

「でも、なんで女物なんか」

「あら、だって似合うじゃない」

おっとりとそう言われて、もう一度キラを見る。

確かに、似合っては、いた。

自分ではかっこいいと言っているけれど、実際、どちらかというと、可愛い方だと思う。

ま、言ったらキラが不機嫌になるだけだから、わざわざ言ったりもしないけど。

「アスランっおみくじ引こうよ!!」

パタパタと駆け寄ってくるキラ。

母さんたちもいいと言ってくれたので、そのままおみくじを引くことになった。



「せーの」というキラの掛け声に合わせて、同時に紙を広げる。

「あ」

俺のおみくじに現れたのは大吉の文字。

やった、と密かに喜んでいると、キラが後ろから覗き込んで来た。

「うわ、アスラン大吉だぁ」

ひどい、と理不尽な文句を言ってくるキラ。

いったい何が出たのだろうとキラの手元を見る。

「……凶、だね」

「取り替えてよアスラン」

「……それ、なんか意味あんの?」

「……うぅ」

あからさまにがっくりと肩を落とすキラ。

別にそこまで気にしなくたっていいと思うけど。

「まぁ、大凶じゃなかったからいいんじゃない?」

「大凶なんて入ってるの?」

「知らない」

「……アスランって性格悪い」

口を尖らせてそう言いながら、俺の腕に巻き付いてくるキラ。

性格悪いと思うなら離れればいいのに。

ていうか、なんでくっつくわけ。

そう訊けばキラは何故だか得意気に笑って。

「これで僕も大吉になれるかなって」

「……俺の運吸い取る気?」

「そうとも言う」

これで中吉ぐらいになるかなーだなんて言いながら離れようとしないキラに呆れつつも、少しだけ、嬉しかったり。

新年早々、大吉が当たったみたいだ。

それから、引いたおみくじを結び付けに行った。

俺は目の前ぐらいの紐にくくりつけたけど、キラは背伸びして高いところに付けようと奮闘している。

どこに付けたって同じじゃないか、そう思ったけど、真剣な顔したキラを見たら、口に出せなくなってしまった。

「よ、しっと」

「お疲れ様」

結び終えて満足そうな顔をするキラが可愛くて、頭を撫でようとしたら逃げられた。

「お兄ちゃんぶるのやめてっていつも言ってるじゃん」

べー、と舌を出してそう言うキラに、ため息混じりにごめん、と返せば、すぐにキラは俺にくっつき直した。

キラって実はすごい占いとか信じる方なのかもしれない。

「あー、アスランが大吉でよかったー」

「……一年間俺から運吸い取るつもりなわけ?」

「そういう言い方しないでよね。ていうかさ、どうせずっと一緒なんだから、僕が凶でもアスランが大吉なら平気かなって」

その発想でいくなら俺がキラの凶に引きずられる可能性もあるはずなのだけれど。

(……ま、それはないか)

俺からしたら、キラが近くにいてくれてるだけで、充分大吉みたいなものだしね。
















2011*01*01
 

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