メイン2
□不思議な時間
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開いた身長差。
開いた年齢差。
そして、何処かよそよそしい、貴方。
「恭弥、先風呂入っとけよ」
「………うん」
一言答えて浴室へ向かう。
洋服なんて草壁が持って来てくれるから、特になにもせずお風呂へ直行。
ちゃぽん、そんな音ともに丁度いい暖かさが身体に広がった。
「………ふぅ」
ため息と共に頭に浮かぶ、ディーノのこと。
ここにいる彼じゃなくて、僕が元々いた方の。
向こうのディーノは何も知らないから、もしかして凄い心配しているかもしれない。
応接室に元気に転がり込んできて、そして僕が居ないのを見て、呆然とするディーノを想像したら、思わず笑ってしまった。
こっちのディーノもあっちのディーノも、心配性なのは変わらない。
(まぁ、両方とも同じディーノなんだから当たり前なんだけど)
正直僕とここのディーノは、いまいち距離感を掴みかねているような気がした。
もちろん戦闘の時は真面目にやっているけど、問題はそれ以外の時。
僕とディーノは恋人同士。
それは十年後も変わっていない、らしいのだけれど。
今の僕と彼が恋人同士、というのは何か違う気がした。
それにしたってディーノのよそよそしさは異常だけど。
それは彼が恋人として僕を意識しそうになっているからか。
元々七歳差なんてものを気にしていた彼のことだ。
十七歳差、それだけで手を出すのが気が引けるのだろう。
まぁ確かに三十過ぎの男が中学生に手を出したらかなり犯罪臭い。
……でも、それだけでない気もする。
だとすると、やっぱり考えうるのはこっちにいるはずの僕。
二十五歳、僕のよく知るディーノより歳上な僕なんて想像つかないけど、ともかく大人になった僕。
その僕に気を使ってるとか何か言われたとか。
そして僕も想像してみる。
向こうのあの人が、十年前――は流石に五歳だからないとして、逆に十年後の僕と、まぁ、恋人らしいことをしていたり。
(……ダメだ)
相手が自分だとしても若干腹がたった。
浮気じゃないけど浮気っぽい、なんか、凄く。
その考えはきっと十年後の僕も同じだろう。
もしかしたらディーノも似たようなこと考えているかも知れない。