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□不思議な時間
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開いた身長差。

開いた年齢差。

そして、何処かよそよそしい、貴方。

「恭弥、先風呂入っとけよ」

「………うん」

一言答えて浴室へ向かう。

洋服なんて草壁が持って来てくれるから、特になにもせずお風呂へ直行。

ちゃぽん、そんな音ともに丁度いい暖かさが身体に広がった。

「………ふぅ」

ため息と共に頭に浮かぶ、ディーノのこと。

ここにいる彼じゃなくて、僕が元々いた方の。

向こうのディーノは何も知らないから、もしかして凄い心配しているかもしれない。

応接室に元気に転がり込んできて、そして僕が居ないのを見て、呆然とするディーノを想像したら、思わず笑ってしまった。

こっちのディーノもあっちのディーノも、心配性なのは変わらない。



(まぁ、両方とも同じディーノなんだから当たり前なんだけど)



正直僕とここのディーノは、いまいち距離感を掴みかねているような気がした。

もちろん戦闘の時は真面目にやっているけど、問題はそれ以外の時。

僕とディーノは恋人同士。

それは十年後も変わっていない、らしいのだけれど。

今の僕と彼が恋人同士、というのは何か違う気がした。

それにしたってディーノのよそよそしさは異常だけど。

それは彼が恋人として僕を意識しそうになっているからか。

元々七歳差なんてものを気にしていた彼のことだ。

十七歳差、それだけで手を出すのが気が引けるのだろう。

まぁ確かに三十過ぎの男が中学生に手を出したらかなり犯罪臭い。

……でも、それだけでない気もする。

だとすると、やっぱり考えうるのはこっちにいるはずの僕。

二十五歳、僕のよく知るディーノより歳上な僕なんて想像つかないけど、ともかく大人になった僕。

その僕に気を使ってるとか何か言われたとか。

そして僕も想像してみる。

向こうのあの人が、十年前――は流石に五歳だからないとして、逆に十年後の僕と、まぁ、恋人らしいことをしていたり。

(……ダメだ)

相手が自分だとしても若干腹がたった。

浮気じゃないけど浮気っぽい、なんか、凄く。

その考えはきっと十年後の僕も同じだろう。

もしかしたらディーノも似たようなこと考えているかも知れない。
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