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□永遠の誓約
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「キラ、紅茶いかがですか?」
「うん。もらうよ。ありがとう」
そう言うキラに微笑んで、軽い足取りで席を立つラクス。
どことなく幸せそうな雰囲気を醸し出しているのはきっと見間違いではないのだろう。
そんなところへ、ひとつの声、……ラクスからしたら騒音と言ってもいいような声が聞こえてくる。
「キラーっ!!」
「アスランっ!?」
少々乱雑なドアの開け方をし、部屋に入ってきたのはアスラン。
その様子を見て、ラクスは盛大にため息をついた。
(……またですわ)
折角今からキラとお茶を楽しもうと思ったのに、と、ラクスは心中で悪態をついた。
二人きりであった空間をぶち壊すのはいつだって彼で。
何よりもアスランを認識したときのキラの嬉しそうな笑顔が尚更ラクスをイラつかせた。
「え?どうしたの?仕事は?」
「仕事は終わった。それでさっき部屋を片付けてたら、どうしてもキラに見せたくなって……」
そう言いながら息があがっているアスラン。
彼は言葉通り、猛スピードでここまで来ていた。
うっすらと額に浮かぶ汗を見てキラは苦笑し、自身の持っていたハンカチをアスランに差し出した。
アスランはそれを受け取って軽く水分を拭き取る。
そしてその一連の動作はお互い何も言わずに、しかしあまりに自然に行われていて、長年の付き合いを表すかのようなものだった。
一方のラクスはそんな二人のやりとりを見て、足元の壁を蹴破りたいような衝動に襲われる。
キラとアスランは幼馴染み。
その上、お互い大好きであることは、キラに初めて会ったときから分かっていた。
それは地球軍からザフトへ自分を連れて行ってくれたときに交わしていたアスランとキラの会話で確信して、そのあと時間を重ねる度に尚更分かってしまったことだ。
ラクスはキラの事を好きだという自身の気持ちにとっくに気付いていたが、アスランとキラを見ていれば、自分の入る間などないことは一目瞭然だった。
まぁ、最初の頃こそ、キラからの愛を一身に受けているアスランに恨めしさにも似た感情を抱いていたが、もはやその感情を抱くことすら憚られるほど二人の仲はよくって。
彼の幸せの為に身を引くというほど殊勝な精神ではないけれど、アスランには勝てないと悟ってしまっていた。
「……で、何だっけ?」
「部屋を片付けてたら、その、写真が出てきたんだ。……月にいた頃の」
軽く鞄を漁り出てきた封筒をアスランはキラに渡す。
その封筒を開いて中身を見た瞬間、キラの表情は輝いた。