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□君に惹かれたその理由
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悟史くんが学校に出られるようになった。

一応今日精密な検査をして、明日から。

まぁ学校に出られるのはおおむね確定だから、もう準備は済んでいる。

それでも悟史くんは落ち着かないようで部屋の中をあっちこっちに行き来して、かと思えば忘れ物あったらどうしよう、なんて鞄の中身を全部出してみたり。

「はぁ、なんだか遠足前の小学生みたいですね」

「むぅ……仕方ないだろ。本当は早く出たくて仕方なかったんだから」

忘れ物、ないなぁと呟いて悟史くんは再び荷物を鞄に戻した。

「沙都子とか元気かなぁ」

「元気ですよ。いつもそう言ってるじゃないですか」

「圭一ってどんな人なんだろう……。楽しみだなぁ」

「……聞いてないし」

悟史くんはずっとこんな調子でうわ言を言ったりもしている。

嬉しいのはわかる、わかるけど、気に入らない。

我ながら子供っぽい感情っていうか、しょうもない独占欲だなぁって思う。

約一年間、悟史くんに会えなくって、見つけて、悟史くんの目が覚めて約半年、ずっと一緒にいた。

悟史くんが目が覚めてからの私は、会えなかった分を埋めるように悟史くんにベタベタと付きまとっていて。

それができたのは人目がないから。

そりゃ、お姉たちがいたっていちゃつけるけれど、今までのように付きっきりでいられるわけではないだろう。

私は、それが、寂しいのだ。

もちろん、もちろん今までずっと悟史くんが復帰して、悟史くんを混ぜたみんなで部活をしたいと思っていたし、悟史くんと、沙都子と、三人でお買い物したい、それもちっぽけだけど大事な夢だった。

けれど、実際悟史くんが復帰するとなると、どうしようもない寂しさが私を包み込んだ。

(……ダメだなぁ、私)

別に悟史くんが部活に戻ったって、私が悟史くんのことを好きなのも悟史くんが私のことを好きだって言ってくれることも、変わるはずないのに。

あんまり一緒にいすぎたから、なんだか私、欲張りになっているみたいだ。

「詩音、」

「……はぁ」

「詩音は、僕と一緒に学校行きたくないの?」

「何でですか?そんなわけないです」

「……だって、詩音、つまんなそうな顔してる」

困った顔で私の頬をつついてくる悟史くん。

……可愛いなぁ。

この表情、誰にも見せたくない。

「だって、悟史くんが学校に戻ったらきっとモテモテですよ」

「え?」

「今はみんな圭ちゃんラブですけど。だって、だって、絶対悟史くんの方が素敵ですもん。優しいし、格好いいし、可愛いし、圭ちゃんみたいに変態じゃないし」

あ、でも流石に魅音は圭ちゃんラブなままかなぁ。

昔は、悟史くんのこと好きだったみたいだけど。
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