メイン2
□恥ずかしさなんか捨てて
1ページ/3ページ
何だか今、俺のクラスではプロフィール帳なるものが流行っているらしい。
もうこの学年になって半年はたつのだから、今さらそんな事をする意味はどこにあるのだと考えるが、女子の脳みそん中なんかが俺に分かるはずもなく。
まぁ、正直、女子の間で流行っていることなんか俺に何の関係もないからどうでもいいか。
そう思っていたのだが。
「松野くん、これ書いてくれない?」
「あ、私も」
「あー、うん、いいよ。でも面倒だからみんな纏めて渡してくれない?名前書いて」
「わかった」
マックスの言葉に頷いたかと思えば「松野くんに書いてもらいたい子名前書いて私に渡して」てか言いはじめているクラスメイト女子。
それに集まった人数は……正確に数える気はさらさらないけれど、少なくとも十人は、よゆう。
マックスの近く、というか真隣にいる俺には声かけるどころか見向きもしないってどういうことだ。
確かにマックスほど目立つ存在ではないけれど、少し声かけるぐらいしてくれてもいいんじゃないか。
人気者の松野様の方は「うっわ多そ。面倒だなあ」なんて呟いてるし。
「モテモテだな」
「あっは、なーに?嫉妬?」
「松野にな」
「うわぁ、僕というものがありながら女の子にモテたいなんて思ってるわけ?」
ぷくっと頬を膨らませてそう言うマックス。
残念だったな、俺にはそのお得意の可愛い顔は通用しないんだ。
……実際は見慣れただけだけど。
いまだにぷうと頬を膨らませたままのマックスが面白かったから、そのぷにぷにした頬っぺたをつついてみた。
あ、柔らかい。
「半田くんと松野くんて仲いいね」
「、!?」
急にかけられた声になんだか思わずびっくりして、パッとマックスの頬から手を離した。
俺達の関係がバレたらどうしようと危惧してのその行動だったのだが、俺のそんな思いにマックスが気付くはずもなく。
「そうだよー。僕たちラブラブだもん。ね」
あろうことかがばりと俺に抱きついてきた。
ね、じゃないっての。
離れろと、それはもう叫ぶように言ってやりたかったけど、上手く声が出なかった。
驚きとか、恥ずかしさとかで。
今俺、多分絶対顔真っ赤だ。