メイン2

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鼻腔を擽るいい香りに目が覚めた。

いつもと違うそれに、マナが頑張ったのかな、そう思い、思わず笑みが溢れる。

僕は布団から起き上がり、軽く身を整え、リビングへ向かった。


「おはよう。いい匂いだね」

「おはようございます。博士くん」

「あ、おはよう……って嘉音くん、起きてたんだ?」

癖なのか恭しく頭を下げる嘉音くんに驚愕する。

しかも彼が立っているのはキッチンで、本来そこにいるべきマナはちょこんとテーブル前の椅子に座っている。

いや……何故?

そんな僕の疑問に答えるようにマナは笑顔をこちらへ向けた。

「すっごいよねー!!これ全部嘉音お兄ちゃんが作ったんだよー!!」

「へぇ……すごいね」

お客様に料理を作らせるのってどうなんだろう、そうも思ったけれどそれを言うより先に感嘆の声が出てしまう。

僕もマナも、ほとんど和食しかレパートリーがないから、洋食が並んでる様はなんというか、圧巻で。

しかも全て高クオリティともなればそれはもう、輝いているとしか言えなかった。

「喜んでいただけるなら幸いです」

「いや、まぁすごいしありがたいんだけどさ、わざわざここまでしてくれなくたって」

「好きでやっていることですから。冷めないうちに食べてください」

……なんだかすっかり使用人モードだなぁ、嘉音くん。

料理作ってる間に何かのスイッチが入ってしまったのだろうか。

「ん、じゃあ食べるけど」

そう言いとりあえず椅子に座ろうと手をかけ、止めた。

「……悟史くん、は?」

「まだ寝てます」

「……起こすべきかな?」

「そうですね」

一瞬考えた後に嘉音くんが頷いたので、二人で悟史くんを起こしに行くことにした。
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