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□強いていうなら夏のせい
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真夏。
それだけで暑さを感じさせるセミの鳴き声をBGMに、リモコンが行方不明なためエアコンが使用不可能な部室の中。
ただでさえ暑いというのに、俺の肩には涼野の頭。
「……すーずーのー」
「どうしたの?」
「暑いから離れてくれよ」
「それは無理な相談だね」
「……はぁ」
さっきからこのやり取りをどのくらい繰り返しただろうか。
不毛だ。不毛すぎる。
そもそも涼野は暑くないのかと聞けば平然と暑いと答えるし。
もう訳が分からない。
例えばこれが夏でなければ、人いないし別にいいかと思うのだが、今はこう……暑いのだった。
いくら涼野の方が俺より幾分低いとはいえ、体温にはかわりない。
それに涼野は俺に寄りかかっている。
汗臭くないのだろうか。
結構俺、汗っかきな方だし。
とか色々考えるのにもそろそろ限界が来ている。
暑くて思考がうまく働かないのだ。
頭に浮かぶのはただ一点。暑い。それのみ。
「ねぇ、風丸」
「なんだよ」
「キスしていい」
「……好きにすれば」
あぁ、いよいよもって俺の頭は働かなくなってしまったらしい。
何が好きにすればだよと他人事みたいに思っている間に涼野と唇が合わさっていた。
「……っ、ふ」
かと思えば口内に舌が侵入、掻き回される。
あぁ、くそ、まさか深い方だとは思わなかった。油断した。
ただでさえ暑くて思考が働かないというのに、激しいキスに頭に靄のかかったような感覚に襲われる。
流れる汗が気持ち悪い。
「、熱いね」
「暑いからっ、ひぁ、」
自分でもよく分からない掛け合いをしていたら首筋にぞわりとした感覚。
働かない頭でも、首筋を舐められたのだと、そう気付くのに時間はあまり要さなかった。
「……なにする気だ」
「分からないかい?」
「暑いんだけど」
そう言えば、涼野はくすりと笑って、暑いからだと返してきた。わけわからん。
「暑いから、熱に浮かされたとでも思っておいてよ」
「なんだ、っそれ。若さゆえの過ちって、ふあっ、やつ、か?」
次第に強くなっていく快感に、もういいやと、ため息と同時に抵抗する気力も吐き出してしまったのだった。
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