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□頑張る理由
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「キラさーん、この書類もお願いします」
「えぇー」
「えぇーじゃないですよ。よろしくお願いしますね」
バンと少々乱暴に書類を僕の机の上に重ねて去っていく後ろ姿にため息をつく。
最近シンくんから尊敬の念を全く感じなくなってきた。
まぁあんまり特別扱いされるのも嫌だから別にいいんだけどさ。
そんなことよりも今目の前に置かれたこの資料だ。
ただでさえまだ一山残っているのに、シンくんは僕を過労死でもさせる気なのだろうか。
いや、シンくんも忙しいんだろうけど。
そう思いながら手元の書類に目を通し、判子を押す。
これも僕が陰鬱な気分になっている原因の一つだ。
書類をざっと読んで、了承の判子。
単調な作業なだけに退屈だし飽きる。
しかも書類はたまに了承してはいけないようなものまで混じっているからちゃんと読まないとだし。
目と頭も痛くなってきた。
パソコン弄りたい、パソコン。
そうだ、この仕事が終わった暁にはシンくんのパソコンハッキングして人には見せられないようなプライベート画像入手してやろう。
「…………はぁ」
と、色々考えてみるがだからといって目前にある山の量は減ることはなく。
正確には減っているのだけど、それが見た目にわからない。
正直これじゃあやる気が削がれる一方だ。
「……はぁぁぁああ」
「これまた盛大なため息だな、キラ」
少し休憩しようと机に突っ伏したその瞬間に聞こえてきた声。
思わずバッと顔をあげると、近くにあった書類の山がぐらついて、一瞬ヒヤリとした。
危機一髪で崩れなかったそれを整えながら、いつの間にか入ってきていたそいつに声をかける。
「……っと、どうしたの?アスラン?」
「いや、シンがキラがだらけてるからどうにかしろって」
「む、だらけてなんかないもん」
ていうか何でシンくんはそれをアスランに言うんだ。
……いや、何でって、アスランが僕の扱いを心得ているからだろうけど。
「………で、君はどうするつもりさ」
少し声が不機嫌になってしまった。
だって、仕方ないじゃないか。
仕事だって分かってても、シンくんがアスランと連絡をとっていたのが、ほんのちょっぴり気に入らない。
「見てる」
「はぁ?」
「シンに、サボらないように見張っとけって言われたからな」
「……何それ」
拍子抜けしつつこれじゃあ少し休むことすらできないじゃないかと嘆息する。