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□さっさと立ち去ってください
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それに不満そうな顔をしながらも着いてこないらへんが骸らしい、じゃなくて。

「……ねぇ、もしかして、知らないの?」

誰が何を、とまでは言わなかった。

言う必要もなかった。

「……知らない、のか?」

何故かディーノまで疑問系。

「貴方、言ってなかったわけ?」

「恭弥こそ、教えてなかったのかよ?」

そう言ってから、お互いの顔を見合せ、ため息をつく。

だって、まさか、どっちも僕たちが付き合ってることを教えていないなんて思わなかった。

微妙な空気が流れる中、ディーノは骸に向き直った。

「……あのさ、俺も恭弥も知ってると思ってたんだけど」

「なんの話ですか」

「俺と恭弥、付き合ってる。恋人」

再び応接室になんとも言えない静寂が訪れた。

数分後……数秒だろうか、ショートしていた骸がやっと口を開いた。

「……嘘、ですよね?」

すがるような目をしてそう問いかける骸に無情にもディーノは「嘘じゃねーよ」と答える。

すると今度はこちらを向いて「本当なんですか?」。

僕はこくりと頷いた。

そうすればふらぁっとよろめく骸。

何でこの人はこうも言動が芝居がかっているのだろう。

まぁこれで鬱陶しいことはやめるかな、と思いきや。

「認めませんよ……。証拠もないじゃないですか」

物凄い往生際の悪さだった。

思わずため息をつくとディーノのそれと重なった。

「証拠だってよ、恭弥、どうする?」

「放っておきなよ。応接室の外に出して」

その言葉を受けたディーノが、骸を引きずり出そうとしても、骸は動かなかった。

「クフフ……そもそも僕は幻覚ですから、今出ていかせたところでまた入って来ますがね」

「じゃあ今出てけっつの」

これじゃあまた何時間かかるか分からないという言い争いをし始めた二人に、もう今日は無理だなと憶測をつけ片付けを始める。

帰りついでに見回りして草食動物を咬み殺してこようと思いながら立ち上がった。

「あ、ねぇ、ディーノ」

名前を呼んで彼が振り向くのもままならないまま、彼のTシャツを引っ張って自分の元へ引き寄せる。

そして、雑ながら唇を重ね、触れ合った瞬間にトンファーで殴り付けて。

防御できずに転がったディーノと、呆然と立ち尽くす骸をそのままに僕は部屋を立ち去った。



そのあとディーノから聞いた話だと、骸は幽霊さながらに消えてったらしい。









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