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□君がいないなら僕は死ぬ
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「あのさ、半田は、僕がいなくなったらどうする?」
「……あ?」
半田は物凄くいぶかしげな表情で僕を見てきた。
そりゃ当然だ。
突然ガンの末期患者みたいな質問を投げ掛けられたのだから。
もちろん僕は、何か治らない病気を患っているわけでも、ましてや明日死のうと決めているわけでもない。
只気になって、どうしても聞きたくなった。
それだけの事。
「いなくなるって死ぬってこと?」
「うーんそうだなぁ。死ぬんでもいいし、二度と会えないようなことになるんでもいいよ」
僕がそう言うと、半田は一瞬悩むような表情を見せて、口を開いた。
「分かんないけどさ、多分すっごく悲しいと思う。でも、普通に過ごす、かな」
「……普通に?」
「マックスと会う前の平凡な人生に戻るんだよ、きっと」
つまんねぇけどな、そう言って頭を掻く半田。
まぁ大体予想通りの答えだ。
もうちょっとぐらい『マックスがいなくなるなんて嫌だ』的なこと言って欲しかったけど。
「……マックスは?マックスは、俺がいなくなったら、どうする?」
「うーん」
僕は質問が返ってくるとは思ってなかったので、答えを出すのに少し時間がかかる。
でもあくまでも一瞬。
だって半田がいなくなったらどうするなんて、そんなこと決まってる。
「半田がいないんなら、僕は死ぬよ」
「はぁ!?」
「半田のいない世界なんて僕にとってなんの意味もなさないもん。そりゃ、半田がいなくたって僕ならうまく生きていけると思うけどさ」
僕がそう言うと半田は反応に困っているように口をつぐんだ。
「でもね、大丈夫」
「…?」
「だって僕、半田を離さないから」
一気に半田の顔が朱に染まる。
……何でも簡単に手に入れることが出来た僕が唯一苦労して手に入れたのが半田だから。
何でもこなせる僕に対して、何でも普通の半田。
正反対のようで、似ている。
半田がいることで僕は世界に楽しいことがあるなんて当然のことに気付けたんだ。
半田が隣にいる時は全てがキラキラして見えて。
それこそ、なんでもない普段の帰り道さえ、半田と一緒なら、とても楽しいものに思えた。
だからこそ、きっと半田がいなくなった世界は真っ白に見えるんだろう。
半田がいない世界なら、僕はいらない。
だから、僕はさっきの言葉をもう一度言う。
「絶対、離さないよ?半田が嫌だって言っても離さない」
言いながら抱き着けば、半田はふわりと笑って。
「……俺だって、離れてやるつもりねぇよ」
「じゃあ僕達一生一緒だね」
茶化すように笑いながら唇を合わせた。
「半田、大好き」
「……俺も」
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