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□最終手段
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……皆の視線が、痛い。

何を隠そう今は授業中。

都会には幾分遅れてはいるものの、一応皆教科書を開いて勉強をしている。



……………俺達を、除いて。



「えへへ。圭一、温かい」

悟史は、俺の腕にしがみつくようにして隣に座っている。

一時間目からずっとだ。

まぁ、なんだ。

正直なとこかなり可愛い。

しかし、可愛いからといって何してもいい訳じゃなく、ていうかそもそも今は授業中だ。

「勉学に……励まねばっ……」

「勉学に励みたいならその鼻血をまずどうにかするべきですね」

悟史の正面、俺の右斜め前にいる詩音が呆れたように呟いた。

ちなみに今俺、悟史、園崎姉妹は四人で机をくっつけて勉強している。

俺が教えられるようにとの事だが、悟史のせいで勉強に全く手をつけていない現状だ。

「…悟史、」

「何?」

首を傾げ、上目遣いをしてくる悟史。

なんなんだ一体。

これだけ可愛い様子で居られたら「離せ」なんてこと言えるわけがない。

ほら見ろ、詩音だって鼻血出してるじゃないか。

「……とりあえずあんたたち顔洗ってきなよ」

悟史の可愛さにノックダウン状態の俺達に対し、魅音は非常に冷たい目で見ている。

「そうだな、ちょっと顔洗うから悟史、離れてくれ」

「い、や、だ」

「圭ちゃんずるいです私も悟史くんにぎゅーされたいです」

「ほら詩音の方行ってこいよ」

「……圭一、僕の事……嫌い?」

「………っ、」

悟史、それは反則だぜ……!!

どうしよう俺今なら軽く死ねる!!

「けっ、圭一さん?!ねーねーも!!どうしたんですの!?」

「血の海なのですよ。にぱー☆」

少し離れた所で勉強していた沙都子たちが真っ赤に染まった俺達に気付きこっちへ来る。

「沙都子……、俺、お前の事忘れないぜ、」

「圭一さんん?!その状態で死亡フラグたてるのは洒落になりませんわよ?!」

「……むぅ。圭一は僕より沙都子の方がいいのかよ」

いじけたようにそう言う悟史。

やべぇ、そろそろ貧血で頭がくらくらしてきたぜ。

「悟史くんのせいなのかな、かな」

「いやもうさっきからずっとこうでさー。こっちからしたら迷惑だって」

「レナさんと魅音さんは何でそんな平然としてますの?!」

何でってそんなのこれが日常茶飯事だからに決まっているだろう。

いつもは勝手に俺と詩音が鼻血まみれになっているだけだが。
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