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□いくつになってもこっそり溜息
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「なぁ恭弥ー夕飯どうする?」

「いつものホテルじゃないの?」

「今日急いでたからホテル取ってねぇんだよ。」

そう言えば、「あ、そ、」とそれだけ言ってプイと向こうを向いてしまう恭弥。

本当は明日日本に来るつもりだったのを無理やり今日にしたのは、珍しく恭弥から「次はいつ来るの?」なんてメールが来たからだっていうのに。

俺はあれを恭弥なりの会いたいだと解釈したのだが、もしかしたらただ日程を聞きたかっただけなのか。

とにもかくにも、珍しく恭弥からラブコールが来た(勘違いじゃないことを祈る)のに舞い上がっていた俺はついうっかりホテルの予約を忘れていたのだ。

「別に僕はどこでもいいけど」

荷物を纏めながらそういう恭弥。

どこでもいいが一番困るんだけどな。

と、前から言おうと思ってた事を思い出す。

「そういや、ファミリーレストランってとこ行ってみたいんだが」

「ファミレス?」

「あぁ。前にツナと一緒に行こうとしたら獄寺が『何で十代目がテメーなんかと食事しなきゃいけねぇんだよ』っつってきて行けなかったんだ」

「………ふーん」

眉根を寄せる恭弥。

……ん、なんかちょっと怒ってるっぽい……?

「もしかして、焼きもち妬いてる?」

そう言うと、ぴくりと肩を震わせ、そっぽを向く。

どうやら図星らしい。

最近俺は恭弥のちょっとした表情で感情が分かるようになってきて。

そのお陰で、実は恭弥は嫉妬深いことに気付いた。

最初の頃は付き合いはしたものの俺ばっかりが想っているものだと思っていたから、それが結構嬉しかったりする。

「で、行くの?」

「お!!行ってくれんのか?」

「だって行きたいんでしょ」

ぐい、と、俺の腕を引っ張って歩き出す恭弥。

前は俺の意見なんて丸無視だったのになぁ……。

口が悪いのは相変わらずだが、それでも恭弥が俺の言うことに頷いてくれたのが嬉しくて。

捕まれた腕を恭弥の腕に絡めれば、少し恭弥は頬を染めた。

珍しく振り払わないところを見ると、どうやら今日の恭弥は機嫌がいいらしい。

頑張って仕事を終わらせたご褒美には丁度いいと思った。
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