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□優しい君へ
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※幼少※
「ただいまーっ」
「お邪魔します」
一礼してキラの家に上がり込む。
とは言っても、母上の仕事の関係でほぼ毎日のようにキラの家に来ているから気分的には『ただいま』なのだが。
キラの部屋に入る。
中央にある小さい机に向かい、とりあえず今日の宿題を出す。
そんな僕に対してキラは、いそいそとテレビゲームの準備を始めていた。
「……キラ?」
「見て見てアスラン!!このカセット昨日買ってもらったんだ〜」
えへへ、アスランとやりたかったからまだ開けてないんだよ?
なんてにっこり笑いながら格闘ゲームと思われる代物を僕に見せてくるキラ。
その表情に心臓がドクンと脈打つのを感じながらも、ここでゲームを始めたら宿題が手付かずになることが目に見えているから、出来るだけキラを傷つけないように断る。
「宿題やったあとでいっぱいやろうね?」
そう言えば、キラは不満そうにぷくっと頬を膨らませて。
「遊んでから宿題やるんでもいいじゃん」
「ダメだよ。そうするとキラ絶っ対、宿題しなくなるから」
「や、やる、もん!!」
「嘘ばっか」
僕から目を反らすキラの頬に手を当て、こっちを向かせる。
目が合うとキラは上目遣いでこっちをじっと見た。
……ちょっと涙目だ。可愛い。
「キラ、そんなに宿題嫌?」
わざと息がかかる距離で聞いてみる。
「あぅ……アスラン……ち、近いっ///」
「ちゃんと答えたら離してあげる」
「……宿題は、嫌」
「どうして?」
「……だって………」
いい澱むキラ。
「……だって、宿題やってるとアスラン構ってくれないんだもん……」
ぼそりとそういったキラの顔は真っ赤だ。
「言ったから離して!!」
……離して欲しいなら自分から振り払えばいいのにそれをしないのって嫌じゃないから、じゃないのかなぁ。
それにさっきの答え。
構ってくれないんだもん、だって。
「……何笑ってるのアスラン」
「だってキラが……」
「……何さ」
「……何でもない。嬉しかっただけ」
そう言いながら笑ってキラの唇に僕のそれを重ねた。
そうすればキラはにっこりと笑って言う。
「じゃあゲームやろ!!」
それに僕もにっこりと笑って返す。
「宿題やってからね」
「えー!!今の遊ぶ流れじゃないのー?」
「キラが僕のせいで宿題やらないの嫌だし」
僕がそう言えば、キラはつまらなそうに唇を尖らせながらぐだぁと床に突っ伏した。