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□優しい君へ
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「やだ、やらない、遊ばないんだったら寝る」

ねる、ってそう言いながらばたん、キラは倒れた。

……仕方ないなぁ、宿題終わったら起こすか。

そう思って宿題のプリントを開く。

「……………。」

今日のはそんなに難しくないからすぐに終わるし。

「…………(チラッ)」

どうせならキラの分もやっといてあげよう。

「………」

「………」

「……じぃーっ」

わざわざ効果音を口に出して寝転がったまま顔だけあげるキラ。

唇は尖らせたままだ。

「……あすらん……遊ぼう……?」

「……ちゃんと宿題やるって約束する?」

「……うん!!」

涙目から一転、パァッと嬉しそうな笑顔をするキラ。

どうせ結局宿題に手を着けることはないと分かっていつつもまぁキラを泣かすのは嫌だしな、なんて。


―――――――――――


「やったぁ!!!!!」

「……15連敗……」

そんなわけで始めた格闘ゲーム。

説明書を読み込む僕と、全く読まないキラ。

最初は僕が勝っていたけれど。

コツを掴み始めたらキラが圧倒的に強かった。

ていうか、よくよく思い返せばどのゲームでもそうだったなぁ……。

「もうやだ。キラ一人でやってなよ。僕宿題やる」

「えーっ!!こんなに楽しいのに」

そりゃキラは楽しいだろう。絶対勝てるんだから。

負けてる僕からしたらつまらないことこの上ない。

勝てることがないと分かっていて楽しめるはずもないし。

「むぅうっ。じゃあ他のゲーム」

「全部キラの方が強いもん」

「ハンデつけるから!!」

「そんな勝ち方しても嬉しくない」

「アスランのわがままー」

ポコポコと僕の背中に手を降り下ろしてくるキラ。

力を少しもいれていないような軽いそれに思わず笑ってしまう。

基本的に優しいキラは、ゲームで僕をぼこぼこにする事はあっても現実で僕に痛い事をする事はない。

「キラ可愛い」

体を反転してキラの体を抱き締める。

そうすればキラは照れたように下を向いて。

「……僕よりアスランの方が可愛いもん」

「キラの方が可愛い」

「アスランの方が可愛い!!」

そんな言い争いをしていたら、勢い余って床に倒れてしまった。

頭打った。痛い。

「……大丈夫?」

僕が頭を擦っているのに気付いたのか、覗き込んでくるキラ。

「ちょっと痛い」

「本当?!どうしよう……薬とか……」

「大丈夫だよ。ちょっと痛いだけだから」

慌てるキラにそう言えば、安心したように息を吐いた。

それでもまだ心配そうに目を揺らしている。

そんなキラにキスをして。

「……ね?キラとちゅーしたらもう痛くなくなった」

「……ほんと?」

「うん」

「よかったぁ」

本当はまだ頭の後ろの方がじんじんしたけど、なんだかキラが笑ったのを見たらそれも薄れた気がした。







―――――――――――
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