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□ピンク、リボン、ひらひらレースへの傾倒
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それはとある昼休みの事だった。
「りっちゃんの持ち物って面白いよねー」
お昼ご飯の時の他愛ない会話。
これもその一つだった。
「ん?面白いか?」
「なんていうか、時々凄い可愛いものあるよね。そのシャーペンとか」
唯が私の机に転がっていたシャーペンを指差す。
それは派手ではないがピンクで可愛らしいもの。
まぁ、その、なんだ。
ぶっちゃけて言えば、それは澪からの誕生日プレゼントで。
多分唯の言う『面白いもの』言うならば私らしくない小物の数々は殆んど澪からのものである。
誕生日はもちろん、恋人になってから一周年だとか、バレンタインだとかはたまたホワイトデーにまでプレゼントをつけたりするものだから、その数は決して少なくない。
誕生日だけでも10幾つかぐらいはあるし。
そんな訳で、今の唯の発言は澪にとってどういうものだったのだろうと彼女の表情を窺い見る。
ぱちり、私に向けられた申し訳無さそうな瞳と目が合った。
予想通りっちゃあ予想通りとはいえ、そのまるで自分が悪いとすら思っていそうな顔に思わず笑ってしまった。
違う、違うんだよ、澪は何も悪くない。
いや、別に唯は私が可愛いものを持っているからいけないなんて言ってないから悪いもなにもないんだけどさ。
それでも、澪はなんだか申し訳無さそうな顔をしたままで。
「へっへーん。かっわいいだろー」
件のシャーペンを手に持ち、唯の目の前に突き出す。
唯はそれにうおぅなんて言いながら少し後ろに下がったけど、それ以上に澪が体を跳ねさせていてちょっと面白かった。
「いや、可愛いとは思うけど」
「りっちゃんがこういうの持つのって、意外よね」
唯の言葉を継ぐように、今までほわんとした顔で黙っていたムギがそう言った。
そして私は、唇を尖らせてそれに反論。
「なんだよー。私が可愛いもの持ってちゃいけないのかー?言っとくけど、このシャーペンすっごいお気に入りだぞ!!あとこのキーホルダーもこのペンも!!」
ピンク色だったりヒラヒラしていたりするもの(これらも全部澪からの)を唯たちに見せる。
澪がおろおろした視線をこっちに向けた。
「りっちゃんこーゆうの好きなの?」
「時々だったらな」
「まぁ確かにりっちゃんの持ち物が全部女の子らしいのって想像つかないわよね」
そんな事を言いながら私の筆箱を物色する唯とムギ。
私はほっとため息をつきながら、椅子にどかっと座り、澪に向けてブイサイン。
澪は何故か真っ赤になって目を反らしてしまった。