むくむく


□闇隔タリシ此ノ世界
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日付が変わるか変わらないぐらいの頃、玄関のドアがゆっくりと開く音がした
グイドは急いで玄関の方へと駆けて行った

「おかえりなさいませ!」
グイドは夜の静けさを突き破るぐらいの明るく威勢のいい声で主を迎えた
しかし、その主は何の反応も示さずグイドの前を通り過ぎて行った


バタンッ!

ドアが悲鳴を上げる
骸にしては珍しく苛ついているようだ

機嫌の悪い時の骸には近付かない方がいい、と誰かに聞いたことがあるがグイドは臆することなく骸の部屋へと向かった
温かいダージリンを持っていくことを忘れずに




「何しに来たんです?僕のことはいいですから、さっさと寝ていなさい」
グイドは骸の機嫌の悪さを改めて実感した
目を合わせようとしないし、指がトントンとソファを叩いている。さらに上着がベッドに放られていた

「子供扱いしないで下さい
俺だって骸様の役に立ちたいんです」
きっぱりとそう言って、骸の前にティーカップを置いた
「骸様、何があったんですか?」
「君には関係ありません」
「関係なくありません」
「・・・・・・」
骸がこっちに顔を向けた
その眼差しにいつもの温かみはなく、ただ冷たかった
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