むくむく


□真と理
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―夏
それは春の次の季節であり、秋の前の季節である。特徴は気温が高く、湿度も高い。つまり過ごしにくい…

問題は何故そんな季節に火を使うのかという話である

確かに夜になれば多少涼しいがジメジメしているのは変わらない


そう思っているのは僕、雲雀恭弥だけでなく、数メートル先にいる六道骸も同じようだ


守護者結成10周年だからなんて訳のわからない理由で全員外に駆り出され花火をやっている
全員で戦闘のがよっぽど楽しいと思う

花火なんてただ数秒間炎を放つだけじゃないか
火が見たいのならコンロでも眺めていればいい



「雲雀くん、隣いいですか?」
隣に来たのはさっきまで向こうにいた骸
ワイン派のくせに日本酒を酌み交わそうなんて言ってきた

彼もさぞかし退屈してたのだろう
お得意の作り笑いが無理矢理になっている


「…いいよ」

どうも、と一人分の隙間を開けて座る

早く、と酒を催促すれば猪口を手渡されて、こぽこぽと注いでくれた

骸は自分で注いで飲もうとしたが僕が猪口を奪い取った

「君、お酒弱いんでしょ?」
「大丈夫ですよ」
「ダメ」
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