むくむく


□解放という名の
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「何処に行くんですか?」

白蘭が僕の腕を掴みグイグイと進んでいく
確かに進んでいるはずなのに僕は逃げているように見えた


「白蘭…、白蘭……?」

「……っ…」


後ろから彼の顔は見えない
でも何故か…
何故か泣いている気がした








辿り着いた小さな小川
水仙がふわりと揺れる


「骸君…
愛してる……」


知らない道を散々歩かせて、草の上に放り出して…
表情すら一切見せずに


「馬鹿じゃないんですか?」

「言うと思った」


やっと見せた顔
僕が一度も見たことのないしおれた花の如く



「まだ貴方は僕を縛る気ですか?
そんな戯言が言いたいのならこの鎖、外しなさい」

「………」

「ただ貴方はこの世界に居たいだけじゃないんですか?
朧なこの世界では自分の存在が不安定で、怖いだけでしょ?
僕に我が儘を言うのではなくて、自分で何とかし…
………?」


気付けば彼はいなかった

僕をつなぎ止める彼はもう……


イナイ…――?







「クハハ…ハハ…」


我が儘なのは自分ではないか

触るな近付くなと言っておきながら、捨てられたらこれだ



彼は最後の我が儘を聞いてくれるでしょうか…?










――ねぇ白蘭…
   迎エニ来テ?








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