むくむく


□IN THE NIGHT
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満月が闇夜を照らし、そよそよと花瓶に入ったススキがなびく

スポーツ然り読書然り食欲然りの秋である


そんな夜の下、障子に囲まれた部屋に雲雀は居た

満月だと言うのに月を見るわけでもなく、団子を食べるわけでもなく
筆で書かれた字を目で追うだけ


「ハァ……」


溜め息を付きたいのはこっちだ
どうやら雲雀は書物に飽きたらしい


ふわぁ、と欠伸を零すと、畳に寝転がった
暴君雲雀恭弥にとって読書など性に合わない


結局そのままウトウトしていると廊下からパタパタ、いやドタドタと走る音が聞こえてきた
子供のような足音だ

配下である草壁は今日は居ないはずだ、と雲雀は体を起こす

嬉しそうな笑みを浮かべながら襖をザッと開けると

黒い衣を纏った小さな少年が立っていた



「trick or treat」


美しく滑らかなアルトであった
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