むくむく


□猫と兎
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「ほら、水」
「…ありがとうございます」

戻ってくると、少しは落ち着いてきたのか頭を持ち上げていた

コップを受け取った右手も少しは赤味が引いている



「恭弥は反則です…」
「何が?」
「…そ、そんないやらしい姿の恭弥が隣にいたら…」
のぼせるに決まってるじゃないですか、と小声で言う

バスタオルで顔を隠しながら俯いて言う骸は本当に女の子のようだった
いや、並大抵の女の子よりよっぽど可愛い



「骸、顔見せて」
「嫌です…」
負けたのが余程悔しかったのだろうか
それほど完全無欠の名が折られるのは嫌なのだろうか


「勝負ならまたやってあげるから」
「…違います」
「え?」
「…ふっ…服を早く着て下さい…!!」

更にバスタオルを深く被って言った

さっきまで一緒に入ってたのになんだこの男子中生は…
むしろ女子高生のが近いのかもしれない

思わず笑いが込み上げてきた


「ふふ…破廉恥だね、骸は」
「だ、黙れ…!」

やっと少し顔を出したところを見計らい、バスタオルを軽く退けて口付けた

唇を離して「可愛いよ、骸」と囁いてやると顔を真っ赤に染めて脱衣所から出て行った


「無駄だよ」



僕は君を見つけてしまった

だからどんなところへ行ったって僕は君を捕まえに行くよ


楽しい 楽しい
追いかけっこ


さぁ逃げてごらん
君は僕から逃げられはしない














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